京都新聞:紙面特集

没後60年 マリー・ローランサン展
美術館「えき」KYOTO(特集)

愁いまとう女性美
「子供のシェヘラザード」 
制作年不明 八木コレクション蔵

 みずみずしい色彩で描かれた、愁いを帯びた優美な女性たち。20世紀前半のパリを舞台に活躍した女性画家マリー・ローランサン(1883~1956年)は、華やかな空気感をまとった絵画を生み出した。「没後60年 マリー・ローランサン展」が28日、京都市下京区の美術館「えき」KYOTOで開幕する。

 ローランサンはパリに生まれ、幼いころから絵や詩に親しんだ。アカデミー派の画塾で、ピカソとともにキュビスムを創始したジョルジュ・ブラックと出会い、多様な表現を吸収した。その後、ドイツ人と結婚し、第1次世界大戦中、スペインへ亡命。大戦後、再びパリに戻って個展を成功させると、独自のスタイルと名声を確立していった。

 その魅力は、油彩でありながら、水彩のような柔らかな色彩だ。白、グレー、青、ピンクの淡い色を基調にした、はかなげな輪郭線の女性たちの肢体は揺らめくようで、表情もどこか物憂げ。花、楽器、洗練されたファッションも描き込まれ、鑑賞者は人物の内面を探ろうと引き込まれる。晩年は赤や黄色を効果的に用い、より深みを加えた。

1953年、70歳ごろの
マリー・ローランサン

 ローランサン自身の多彩な交流が作品にも反映している。貧しい画家が集ったモンマルトルの安アパート「洗濯船」の住人ピカソを描いた肖像は、平面的で大胆な造形だ。詩人ギヨーム・アポリネールとは恋に落ち、自らも詩作するなど表現世界を広げた。会場では、タペストリーの下絵と見本織、繊細なエッチングの版画も紹介する。

 同展は、世界でも有数のコレクションを誇るマリー・ローランサン美術館の所蔵品を中心に計81点を展示し、波乱に富んだ女性画家の画業を浮かび上がらせる。

「三人の若い女」 1953年ごろ 
マリー・ローランサン美術館蔵
「ばらの女」1930年ごろ 
マリー・ローランサン美術館蔵
© Fondation Foujita/ADAGP,
Paris & JASPAR, Tokyo, 2016 G0646
「パブロ・ピカソ」1908年ごろ 
マリー・ローランサン美術館蔵
© Fondation Foujita/ADAGP,
Paris & JASPAR, Tokyo, 2016 G0646
案内
【会期】10月28日(金)~11月27日(日)会期中無休
【開館時間】午前10時~午後8時(入館は午後7時半まで)
【会場】美術館「えき」KYOTO(ジェイアール京都伊勢丹7階隣接)
【主催】美術館「えき」KYOTO、京都新聞
【入館料】一般1000円(800円)、大学・高校生800円(600円)、中・小学生600円(400円)。かっこ内は10人以上の団体、障害者手帳提示の人と同伴者1人
【ギャラリー・トーク】11月21日午前11時、美術館「えき」KYOTO学芸員。入館券が必要。
【問い合わせ】ジェイアール京都伊勢丹TEL075(352)1111
【2016年10月26日付京都新聞朝刊掲載】