京都新聞:紙面特集

大津の都と白鳳寺院
大津京遷都一三五〇年記念企画展
大津市歴史博物館

 幻の都に吹いた、アジアの風

如意輪観音半跏像(朝鮮三国時代、妙伝寺蔵)

 667年、大津に都が移され、今年で1350年。本展は近江大津宮(大津京)の仏教美術をたどり、わずか5年半ながら大津に都があったころの壮麗さを浮かび上がらせる。

 京都・八瀬、比叡山、石山…。展示品が伝わる地域は、大津京を取り囲むように存在している。

 八瀬にある妙伝寺の如意輪観音半跏(はんか)像は今年、大津京が造営された7世紀に朝鮮半島で制作された可能性が高いとの日韓共同研究の結果が発表され、話題となった金銅仏。細い胴体に大きめの頭部、童顔がほほえみをたたえ、この時期に朝鮮半島で流行した様式を見せる。

 同じような特徴は延暦寺の菩薩半跏像でも見られる。一方、石山寺蔵の観音菩薩立像は衣装のひだの美しさが目を引く白鳳仏だ。

 大津京は寺院建築も特徴的だった。南滋賀町廃寺では、四角い軒瓦など数種類のデザインがあり、蓮が横から描かれるなど特異だ。崇福寺ではタイル状に焼成した塼仏(せんぶつ)が建物の内部を覆っていた。中国の石窟寺院を模した空間は後の時代には採用されず、アジアの仏教美術が直接流入した時代の空気を伝えている。

 7世紀後半、朝鮮半島では百済、高句麗が滅亡し、新羅が朝鮮半島を統一。激動の東アジア情勢のなかで国際色豊かな仏教美術がもたらされた。文化財を丹念にたどれば、「幻の都」大津京の姿が見えてくるかもしれない。


崇福寺伝来の十一面観音立像(平安時代、園城寺蔵 重要文化財)
観音菩薩立像(白鳳時代、石山寺蔵 重要文化財)
菩薩半跏像(朝鮮三国もしくは白鳳時代、延暦寺蔵)
塼仏断片(白鳳時代、近江神宮蔵)
南滋賀町廃寺から出土した軒丸瓦や方形軒瓦(白鳳時代、近江神宮蔵)
大津宮中枢部建物復原模型(大津市歴史博物館蔵)
崇福寺出土の塼仏断片(白鳳時代、近江神宮蔵)
案内
■会  期 10月7日(土)~11月19日(日) 10月9日を除く月曜と10月10日休館
■開館時間 午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)
■会  場 大津市歴史博物館(大津市御陵町2の2)077(521)2100
■入 館 料 一般1000(800)円、高校・大学生600(480)円、小・中学生200(160)円
かっこ内は前売り、15人以上の団体割引、大津市在住の65歳以上や障害者と介護保険の要介護・要支援者。
■主  催大津市、大津市教育委員会、大津市歴史博物館、京都新聞
【2017年10月4日付京都新聞朝刊掲載】