京都新聞:紙面特集

特集展示「追慕抄 九條武子」
龍谷大龍谷ミュージアム(特集)

親鸞の心 慈善の生涯
肖像写真 明治43年3月ロンドン(個人蔵)

 西本願寺第21世明如宗主(しゅうしゅ)(大谷光尊)の次女で、真宗婦人会(現・仏教婦人会総連盟)の近代化や京都女子高等専門学校(現・京都女子大)の設立に尽力した九條武子の没後90年に合わせ、特集展示「追慕抄 九條武子」が9日、京都市下京区の龍谷大龍谷ミュージアムで始まる。美貌の歌人として語られることが多いが、実際は大谷家に生まれた「公人」として、関東大震災で自ら街頭に立って被災者救援を呼び掛けるなど、社会福祉活動に打ち込んだ。その生涯を、写真や記録、遺品から振り返る。
 武子は小学6年で退学後、西本願寺内で仏教学や書画、音楽を学び、豊かな教養を身につけた。絵は上村松園、歌は佐佐木信綱に師事した。九條良致(よしむね)と結婚して英国に渡ったが、兄の西本願寺第22世鏡如(光瑞)と合流後、夫を残して光瑞の妻籌子(かずこ)らと帰国。この後、10年間にわたって夫と別居生活を送った。
 独身時代から、真宗婦人会の総裁代理として巡教で各地を訪れたが、籌子の没後、先頭に立って女子教育と宗教心の必要性を訴え、京都女子高等専門学校設立にこぎつけた。
 関東大震災では、帰国した夫と暮らしていた東京で被災。築地本願寺を拠点に慰問品の分配、被災した子どもたちの衣服作りなどに打ち込み、遺児や女性のための施設を設けた。歌文集「無憂華(むゆうげ)」の印税は病院創設のために寄付。被災者や貧しい人たちを訪ねる歳末巡回診療中に熱を出し、1928年2月7日、敗血症のため40歳で亡くなった。命日は如月忌と呼ばれる。
 明治時代の写真をはじめ、優しい筆遣いで描かれた絵画7点、自作の歌を書いた短冊、身につけた着物を仕立て直した打敷、京都女子大の学生たちが再現した武子着用のドレスなど80点を展示する。
 兄光瑞が組織した大谷探検隊は、中央アジアやインド、中国などを踏破した。光瑞夫妻やスウェーデンの探検家スヴェン・ヘディン、探検隊員との黒書院前での記念撮影や、京都府師範学校付属小に通っていた頃の、稚児髷(まげ)に亀甲の櫛(くし)、平打ちのかんざしを挿した姿、交流の深かった柳原白蓮との写真もある。また、武子が日比谷公園で、被災した児童に衣類を手渡す様子が収められた16ミリフィルムの映像を、京都で初公開する。


京都仏教女子青年会による歳末街頭奉仕活動
昭和2年12月(仏教婦人会総連盟蔵)
集合写真 明治41年12月 西本願寺黒書院前庭
(龍谷大図書館蔵)

肖像写真 小学生頃
(仏教婦人会総連盟蔵)
童女図(個人蔵)
系図


金地扇形文様打敷(西本願寺蔵)
*会期1月9日(月・祝)~2月19日(日) 休館日は1月17日、23日、30日、2月13日
*開館時間午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで)
*会場龍谷大龍谷ミュージアム2階展示室(京都市下京区堀川通正面下ル、西本願寺前)
*主催龍谷大龍谷ミュージアム、京都新聞
*入館料一般500円(400円) シニア・大学生400円(300円) 高校生300円(200円)
※かっこ内は20人以上の団体料金、シニアは65歳以上

・関連イベント

 仏教文化セミナー 「九條武子 その信仰と事績」 2月11日午後1時半~5時50分、京都市下京区七条通大宮東入ルの龍谷大大宮学舎清和館3階。終了後、午後6時半からミュージアムの特別観覧会(有料)▽講師は、赤松徹眞龍谷大学長、中西直樹龍谷大教授、フリーライター坂口紀美子さん、八木意知男京都女子大名誉教授。龍谷大仏教文化研究所主催。事前申し込み不要。中西直樹研究室TEL075(343)3408。
 学芸員トーク 1月14日、21日、28日、2月4日、11日午後1時半から、龍谷ミュージアム101講義室。展示観覧券(または半券)が必要。
 新春ふるまい昆布茶 1月9日、10日午前10時から、龍谷ミュージアム正門付近。なくなり次第終了。

【2017年1月6日付京都新聞朝刊掲載】