京都新聞:紙面特集

三蔵法師展 薬師寺の宝物とともに 10月1日から
佐川美術館(特集)

「西遊記」と違う人物像も
厳格な表情で力強さを感じさせる「木造玄奘三蔵坐像」(薬師寺蔵)=撮影・飛鳥園

 玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)(602~664年)は孫悟空と猪八戒、沙悟浄を伴い天竺(てんじく)に行き、釈迦(しゃか)から経典を授かる物語「西遊記」の三蔵法師の名で知られる。その西遊記は「大唐西域記(だいとうさいいきき)」を基に誕生。旅は往復3万キロ余りにおよび、17年の歳月をかけた。玄奘は持ち帰った大般若経600巻などを20年がかりで翻訳した。その教義を託された一番弟子の慈恩大師(じおんだいし)は法相宗を開創。同宗は同大師と師の玄奘を鼻祖(びそ)として最も崇敬する。

法相宗の宗祖のたくましい姿を描いた「絹本著色慈恩大師像」(薬師寺蔵)=撮影・飛鳥園

細部まで入念に造られた美作で、左手には蓮茎の持物を持っていたと考えられる「木造弥勒菩薩(みろくぼさつ)坐像」(薬師寺蔵、平安~鎌倉時代作、像高60・4センチ、前後期展示)=撮影・飛鳥園

玄奘は持ち帰った大般若経600巻など経典を翻訳した。ゆかりの品として伝わる奈良時代写経の重要文化財「紙本墨書大般若経 巻第一」(薬師寺蔵、縦27・2センチ横1097・3センチ、前後期展示)=撮影・飛鳥園

 今回の秋季企画展は奈良・薬師寺の寺宝など計57件を通じ、玄奘の人物像をひもとく。10月1~30日の前期、11月1~27日の後期に分け、一部を入れ替えて紹介する。

 その一つ、「木造玄奘三蔵坐像」(前後期展示)は鎌倉時代作で、像高は88・5センチ。ばらばらに保存されていたが、一部の欠落部分を造り直して修復された。左手に経典を持ち右手の指を立てて前に出した姿。その表情は、ドラマやアニメなどの身近に親しまれた西遊記の優しい三蔵法師と違い力強さを感じさせる。

 また、国宝「絹本著色(けんぽんちゃくしょく)慈恩大師像」(後期展示)は平安時代作で、縦161・2センチ横129・2センチの大きさ。同時代の絵画様式を今に伝える画像で、法相宗の宗祖のたくましい姿が描かれ、今も高く崇拝されている。

 会期中、開幕法要と記念講演会を10月1日午前10時から開催。11月20日を除く各日曜日の午前11時と午後1時からミュージアム説法があるほか、初日と10月8日を除く各土曜日の午前11時からギャラリートーク(いずれも入館料必要)と午後1時半からミュージアム写経(有料)を行う。


■会   期10月1日~11月27日
■開館時間午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)
■休 館 日月曜日(祝日は翌火曜日)と10月11、25日
■主   催佐川美術館、法相宗大本山薬師寺、京都新聞
■観 覧 料一般千円(800円)、高校・大学生600円(400円)、中学生以下は無料(ただし、保護者同伴)
※( )内は20人以上の団体割引
■問い合わせ佐川美術館 TEL077(585)7800


幕末から明治時代にかけて活躍した浮世絵師河鍋暁斎(きょうさい)が手掛けた「西遊記 西天竺経文取之図」(国際日本文化研究センター蔵・写真提供、大判錦絵三枚続、前期展示)
経典を背負い旅をする玄奘三蔵を前に進めと深沙(じんじゃ)大将が激励し、十六善神がにらみを利かせる構図の「絹本著色玄奘三蔵十六善神図」(薬師寺蔵、南北朝時代作、縦108・7センチ横76・4センチ、前後期展示)=撮影・飛鳥園
【2016年9月30日付京都新聞朝刊掲載】

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会   期各館開催の期間中は利用可能
内   容佐川美術館と大津市歴史博物館は、いずれかの館の観覧券半券を提示すれば観覧料を団体料金に割り引く。
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問い合わせ京都新聞COM滋賀事業部 TEL077(523)3134