京都新聞
紙面特集

「ターナー 風景の詩」展
京都文化博物館

(1)「ストーンヘンジ、ウィルトシャー」 1827~28年 ソールズベリー博物館 On loan from The Salisbury Museum, England
(2)「モンテ・マリオから見たローマ」 1820年 エディンバラ、スコットランド国立美術館群 ©Trustees of the National Galleries of Scotland
(3)「セント・オールバンズ・ヘッド沖」 1822年ごろ ハロゲイト、メ―サー・アート・ギャラリー ©Mercer Art Gallery, Harrogate Borough Council

嵐去り 光澄む

 イギリス風景画の巨匠ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775~1851年)の展覧会「ターナー 風景の詩(うた)」が17日、京都市中京区の京都文化博物館で開幕する。穏やかな田園の情景、ドラマチックな海景、高い精神性を秘めた山岳風景など、澄んだ光と空気の中に自然の営みを捉えたターナーの世界を紹介する。

(4)「風下側の海辺にいる漁師たち、時化模様」 1802年展示 サウサンプトン・シティ・アート・ギャラリー On loan from Southampton City Art Gallery©Bridgeman Images/DNP artcom

 ターナーはロンドン生まれ。産業革命で工業化が進み、都市が急速に発展する時勢に、国内だけでなく、ヨーロッパ大陸を旅し、スケッチや水彩画を残した。帰国後、それらを下絵に油彩画を制作、風景の名作を生みだした。今展は、ターナーの代表的コレクションを誇るスコットランド国立美術館群を中心に、水彩や油彩の名品約70点と版画を出品する。

 18世紀、特定の場所や地形を描く「地誌的風景画」が広まり、ターナーの初期もこういった作品が多い。ただ単なる記録ではなく、刻々と変わる気象状況の中に動植物、人間を描き込み、物語性や土地の性格を引き出す点が特徴的だ。「ストーンヘンジ、ウィルトシャー」は、古代遺跡の前で羊と羊飼いが倒れる光景。上空に陰影の濃い雲と遠雷の閃光(せんこう)、強い日差しの交錯が嵐の名残を示唆する劇的な作品だ。

 とりわけ海景は、ターナーの重要な画題だ。荒れ狂う海と翻ろうされる小船、格闘する人々を描く「風下側の海辺にいる漁師たち、時化(しけ)模様」は、自然の猛威を前に無力な人間の存在が際立つ。帆船から蒸気船へ。新時代の胎動と古いものへの郷愁が交差する作品も並ぶ。

 イタリア旅行に取材した、牧歌的で詩情あふれる風景画、新たな美観を探って独自に解釈した山岳画のほか、彫版師の手で画家の魅力をさらに深めた銅版画も紹介される。

(5)「スノードン山、残照」 1788~99年 エディンバラ、スコットランド国立美術館群 ©Trustees of the National Galleries of Scotland
(6)「ソマーヒル、トンブリッジ」 1811年展示 エディンバラ、スコットランド国立美術館群 ©Trustees of the National Galleries of Scotland
(7)ウィリアム・アラン「ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー」 制作年不詳 エディンバラ、スコットランド国立美術館群 ©Trustees of the National Galleries of Scotland

※(7)以外はすべてJ・M・W・ターナー作



案内
■会  期2月17日(土)~4月15日(日) 月曜休館 会期中一部展示替えあり
■開館時間午前10時~午後6時(金曜日は午後7時半まで) 入場は閉室各30分前まで
■会  場 京都文化博物館(京都市中京区三条高倉)
■主  催京都府、京都文化博物館、毎日新聞社、MBS、京都新聞、スコットランド国立美術館群
■入 館 料一般1500円(1300円)大学・高校生1200円(1000円)中・小学生500円(400円) かっこ内は20人以上の団体 障害者手帳提示の人と付き添い1人は無料
■関連イベント特別上映「ターナー、光に愛を求めて」=3月20日午後6時半、21日午後1時半と午後5時、同館3階フィルムシアター。各回160席。入場券付きチケット(2000円)が必要▽学芸員によるギャラリートーク=2月23日、3月23日各午後6時。
■問い合わせ京都文化博物館TEL075(222)0888
【2018年2月13日付京都新聞朝刊掲載】