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タイトル
4.現代病・高齢者の病気(1)
認知症高齢者の医療選択をサポートするシステムの開発
京都府立医科大学大学院医学研究科
精神機能病態学 准教授
成本 迅 氏

京都府立医科大学大学院医学研究科 精神機能病態学 准教授 成本 迅 氏

■ 本人の希望を生かした治療のために

 高齢化に伴って、認知症の方が総合病院で身体疾患の治療を受ける機会が増えてきています。認知症の人と医療側のコミュニケーションがうまくいかず、お互いに苦労しているのが現状です。医療側は、家族にだけ症状や今後の治療方針などを説明し、意見を聞き、治療を進めてしまいがちです。本人の希望が置き去りにされてしまうこともあります。私たちは、より良い治療方針決定の過程を求めて、主に京都で活動する医療福祉関係者や一般住民、認知症の人や家族、法律家の協力を得て研究を行い、専門の医師以外でも認知症の方の治療に関する理解度の目安がつけられる方法などを検討しました。

■ 地域や施設で支援を行う専門職の関わり

 調査研究の過程で、病院に入院する以前の元気な時の地域での関わりが重要であることを認識するようになりました。ケアマネジャーや訪問看護師など地域の関係者や施設職員は、患者さんの入院前から関わりを持っています。体の調子が悪くなったときに、どんな治療を望んでいるかを、その方の価値観や日常生活の情報と共に把握しておいていただきたいです。いざ入院となったときに、情報を病院側に伝え、共同で治療方針などを決められるようになることが理想です。そのためのガイドを作成しており、今後配布予定です。

■ 入院と在宅診療の連携

 今回のプロジェクトでは在宅診療を行っている医師にも意見を聞きました。懸命に取り組んでいる医師でも常に在宅にこだわっているわけではありません。必要なときは病院へ入院を勧めるなど、連携の中で生活の質を高める工夫をしています。そのためには在宅生活を見通した入院治療が必要です。核になるのは本人の希望で、医療者や家族が折に触れて確認し合うことが大切です。それが在宅診療や地域包括ケアの根本になると思います。

■ 自分らしい最期を過ごすために

 人は年を取るとともに徐々に弱って死を迎えます。人生の最終段階の過ごし方を医療側に任せてしまってよいのでしょうか。認知症の人や家族だけでなく、地域の人々や日本人全体としても考えを持つことが大切ではないかと考えています。京都府伊根町では、診療所の医師が地域ごとにミーティングを開いて「最期をどう迎えたいか」を話し合う取り組みを行っています。また、京都地域包括ケア推進機構も「看(み)取り対策プロジェクト」を展開しています。このような活動がもっと広がることが望まれます。

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