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4月から京響常任指揮者に就任する
ウーヴェ・ムント氏 |
4月から京響常任指揮者に就任するウーヴェ・ムント氏が、京響第401回定期演奏会に登場した。楽器のピッチがぴたりと合った清潔な音、引き締まったハーモニー。「居残り特訓」など厳しい練習があったとはいえ、たった5日間の練習で、京響の響きを一変させた。音楽評論家の小石忠男は「京響の歴史に残る名演」と絶賛する。 ムント氏はウィーン生まれ。京響との出会いに選んだブルックナーの交響曲第八番は、折りあるたびにムントが取り上げてきた故郷の音楽だった。「個人の好みで選んだのではない。京響の過去2年間のプログラムを見て、ブルックナーは一度も演奏されていない。京都の静かな、宗教的な町の雰囲気にブルックナーはふさわしいと思う」と。 教会のオルガニストとして活躍したブルックナーの交響曲は、オルガンの響きがする。各楽器のソロを聴かせるのではなく、楽器が織り重なってオーケストラで分厚いハーモニーを響かせる。甘美なメロディー・ラインを好む日本人には“苦手”な音楽と言える。だが、ムントが京響から紡ぎ出したブルックナーは、CDなどで聴くブルックナーとは少し異なり、特に第3楽章など「歌」に傾斜しているようにも聴えた。 地方の小劇場から一歩一歩、地歩を築き、大都市の歌劇場の音楽監督へ。ムントはヨーロッパでの指揮者の常道を歩んだ。音楽活動のスタートはウィーン少年合唱団。プロの音楽家としての最初の仕事も少年合唱団の指揮と指導だったとか。特徴である息の長い旋律を巧みに歌わせる技術は、そうした伝統の中で、育まれたものに違いない。 ところで、一度も客演したことのない京響からの就任要請に戸惑いはなかったのか? 「何度もNHK交響楽団を指揮しているし、ヨーロッパでも日本人と仕事をする機会は多い。日本人の勤勉な性格、気質に信頼している。裏切られることはない」ときっぱり。 ただ、「京響は例えてみれば、F1カーの能力はある。でも、レースに出場するにはタイヤが二本足りない」とも指摘する。 まず、交響楽団のスタンダードは最低97人。現在の定員(87人)を増やす必要がある、と。もう一つは、楽団員が他の職場で働く公務員と同じ賃金しか支払われていない点で、「市民に夢を与える音楽家はもっと優遇されるべきだ」と訴える。さらに、良質の楽器を増やすこと、コンサートホールでの練習回数の増加…と多くの課題も挙げた。
オーケストラと常任指揮者の関係は、結婚生活に例えられる。それにならえば、いまは「婚約時代」。さまざまな思いや夢が交差して最も楽しいひと時かも知れない。先日の定期での手並みが鮮やかだっただけに、音楽ファンの期待も、いっそう膨らむ。 |