 |
─ <11> ─
|
NTTコミュニケーション科学研究所
松澤 和光さん
2メートルほどの高さの三脚の上に、鉄製のピラミッド状の箱が乗っている。怪しげな鈍い光を放つその箱から、ぞろぞろと紙の帯が吐き出されてきた。よく見ると、何やら書いてある。「苔(こけ)でこける」「小結の小娘」「機関車の気管支炎」「寝首を賀来千香子」―。あまりのダジャレに、二の句が継げナイチンゲール?
「苔でこける」「機関車の気管支炎」…
この奇妙な機械を開発したのは、関西文化学術研究都市のNTTコミュニケーション科学研究所(京都府相楽郡精華町)の松澤和光研究員(45)らのグループ。「“永久”にダジャレを作り続けるところから“B級機関”と名付けました」というから、何から何までダジャレ尽くし。たいした念のいれようだ。
 |
“B級機関”から吐き出されるダ
ジャレをチェックする松澤さん
|
しかし、この機械がダジャレを作るシステムは至ってシンプル。ピラミッド型の鉄の箱には小型パソコンとプリンターが入っており、パソコンには国語辞書や人名を参考に、日常語約4万語が登録されている。その中から音の似た単語を見つけ、組み合わせたものをプリントする。また言葉を解説する短文も入力されているため、それを基に短い漫才も作る。
夢のダジャレ製造機
「1時間で20メートルの紙が無くなってしまうほどダジャレを作りますが、面白いと思えるのは50から100個に一つ。辞書がベースなので、固くて難しいダジャレが多いのが難点」とか。
横浜市出身。東京工業大大学院を卒業後、当時の電電公社武蔵野電気通信研究所に入社。5年ほど前に現在の研究所に移り、人工知能の研究を重ねてきた。しかし、このダジャレ作りの機械に一体なんの意味が?
「コンピューターの発達で、言葉を大量にデータベース化できるようになった。そうした大量のデータが集まることで、コンピューターはダジャレのような人間らしい言葉の感覚を持つことができるようになるんじゃないか、と考えるのです」
一方で、人間とは違った言語感覚のようなものが生まれるのでは、とも期待している。「ダジャレや漫才も、意外性があるほど面白いでしょ。コンピューター独自の感覚が生まれた時には、きっと各お笑いコンテストの新人賞を総なめにしますよ」
こんな愉快な人が作る機械なら、夢ではなさそうな気もする。
|