Kyoto Shimbun 1999.10.14 

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  エイ・ティ・アール人間情報通信研究所
    山田 玲子さん

 「聞き取りが上手になれば、発音も改善されてくるんです。六十歳以上の人でも正しい発音を覚えたら長く記憶に残るし、必ずしも年がいったら語学はだめということでもないんです」

 エイ・ティ・アール(ATR)人間情報通信研究所(京都府相楽郡精華町)で主任研究員を務める山田玲子さん(41)は言葉を弾ませる。

 パソコンで聞き取り上達

 山田さんらが、コンピューターの音声認識に役立てようと人間の音声認識過程を研究する中で編み出した英語リスニング教材が、一般の英語学習でも大きな反響を呼んでいる。

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米国人の英語発音を録音する残響ゼロの部屋で研究を説明する山田さん
 昨年4月、インターネット上に「r」と「l」、「v」と「b」など日本人が苦手な発音の聞き取り教材などを盛った研究用ドリルの一部を公開したところ、今年9月末までに約40万件のアクセスがあり、リスニング成績も3千件ほど回答が寄せられている。

 ドリルのもとになった基礎研究は、高校生や大学生、海外滞在経験のある中高生や大学生らの聞き取り能力などを調べた。「r」と「l」の場合、日本人は、二つの音の声紋で米国人が聞き分けの際に着目している部分とは別の所に注目しているため、不正確になっていることも分かった。

 成果を生かして作ったのが独自の英語聞き取りドリル。同じ英単語を何人もの異なった話者で発音したり、聞き取り損なった単語は繰り返し練習し直す。音をつくる際の舌や口の形も、コンピューターグラフィックで表示した。高校生や大学生、放送大学で学ぶ六十歳以上の高齢者らは、数週間の練習で正確な聞き取り能力を身につけ、半年後もほとんど能力が低下しなかった。

 その実績をベースに、CD―ROM付き書籍「英語リスニング科学的上達法」と「ATR CALL 完全版 英語リスニング科学的上達法 音韻編」(いずれも講談社刊)も出版。「基礎研究が、実用面で生かされてうれしい。2002年度には小学校で英語教育が始まると聞きますが、パソコンを使った正確な発音の聞き取り練習は効果があるはず」と話す。

 神戸大の学生のとき、甘いものが好きなハエの味覚受容器に塩を付けて砂糖水を与え、学習記憶がどう保存されるか研究。大阪大の大学院では、キュウカンチョウがものまねをするときの音声学習プロセスを追究した。86年にATRに入って後も、日本人の英語認識過程を分析し続ける。山田さんの一貫した研究テーマは「学習」だ。



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