The Kyoto Shimbun
変わる制度(1)スタート5年、今秋初の見直し

 「介護を家族だけでなく、社会全体で支えよう」と5年前に始まった介護保険制度が、今秋から一部変わります。負担の増加をはじめ「新予防給付」や「地域包括支援」など新たな仕組みについて4回シリーズでお伝えします。初回は、介護保険の基本的な仕組みをおさらいしつつ、改正点に触れてみましょう。

ケアマネジャーから介護保険制度の説明を受ける人たち
元気な高齢者の集いで、将来に備え、ケアマネジャーから介護保険制度の説明を受ける人たち(京都市内)
現行の介護保険の利用の仕方
現行の介護保険の利用の仕方(クリックで拡大表示)
 京都市伏見区の主婦ミネコさん(57)は昨秋、近くで独り暮らしをする実母ツネさん(78)の介護問題に直面した。

 ツネさんが入院したのは、その3カ月前。トイレで倒れているのを、たまたま訪れたミネコさんが見つけた。発見が早くて助かったが、脳出血で手足にまひが残った。

要のケアマネジャー
 ツネさんは退院して自宅に戻ったが、家事や買い物に手助けが必要になった。ミネコさんも仕事がある上、持病の腰痛がひどい。そこで本人と相談し、初めて介護保険を利用することにした。

 「10年ほど前、私の祖母が寝たきりになった時は、母が家で介護していた。施設に入れたり、他人(ヘルパー)に頼るのは世間体が悪いと亡くなった父が言ったもので。いまは、介護保険料を払っていることもあって頼みやすくなった」

 ただ「どうしたら利用できるのか、何も知らなかった」。区役所で相談したら、介護サービス事業所が掲載された冊子をくれた。その中から、家に近い事業所に連絡すると、翌日には女性のケアマネジャー(介護支援専門員)がやってきた。

 ケアマネは介護保険制度の要だ。利用者にふさわしい介護サービスを組み合わせて、生活を支援するのが役割。希望を聞いた後、区役所への申請を代行してくれた。

 京都市では通常、要介護認定のための訪問調査も、同じケアマネが実施する。調査は心身の状態を79項目にわたって聞き取る=右下表の(1)参照。この調査票が全国統一規格のコンピューターにかけられ、介護の必要度が6段階で評価される(一次判定)。

認定ランクで上限額
 これに主治医の意見書などを添付してケアマネが役所に提出する。すると、医師や福祉関係者ら5人1組で構成される「京都市介護認定審査会」が一連の資料を基に、ツネさんを「要介護1」とランク付けた(二次判定)=表の(2)参照。

制度改正でこう変わる
図:制度改正でこう変わる!(クリックで拡大表示)
 この認定ランクによって、使える介護サービスの上限額が決まる。要介護1の場合は月に約17万円までで、そのうち介護保険から9割が支払われ、1割は自己負担だ。ただし、上限を超えた分は、全額自己負担になってしまう。

 ケアマネは本人の希望なども聞いて、週5回のホームヘルプサービス(訪問介護)によるケアプラン(介護計画)をつくってきた。このプランを役所に提出すると介護保険のサービス給付が始まる。「申請して10日ほどでヘルパーさんが来てくれた。親切なケアマネさんにめぐり会えて良かった」とミネコさん。

家で暮らしたいが
 ツネさんが家に閉じこもりがちなので、デイサービスの利用も考えている。最近も近所で独り暮らしのお年寄りが、認知症が悪化したため、施設(老人保健施設)に入った=表の(3)参照。

 「母はまだ生活に重大な支障もない上、私が近くに住んでいるので自宅で暮らせそう。ただ、もっとサービスが必要になると、負担が重くなり、母のわずかの年金では厳しい。できるだけ住み慣れた家で暮らし続けられるようにしたい=表の(4)参照=のですが、私自身も体が丈夫でないので心配ではありますね」

 ミネコさんの不安に、今回の制度改正は応えてくれるだろうか。(文中仮名)


☆制度改正でこう変わる!
(1)来年4月の新規申請分から、中立性を保つため、訪問調査は市町村が直接行う。聞き取り項目も、介護予防に関する内容などが加えられる。
(2)現行の要介護1のうち、認知症などを除く7−8割の人は新設の「要支援2」に移行。介護度が上がらないように筋力トレーニングなど予防給付のメニューが追加される。
(3)介護施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型病院)の入所者に対し、今年10月から新たに食費と居住費を上乗せ徴収する。
(4)在宅介護を支援するため、一時宿泊もできる小規模多機能施設や、夜間ホームヘルプなど「地域密着サービス」が新設される。

[京都新聞 2005年7月23日掲載]

▼前の記事介護のじかんTOP次の記事▲

各ページの記事・写真は転用を禁じます
著作権は京都新聞社ならびに一部共同通信社に帰属します
ネットワーク上の著作権について―新聞・通信社が発信する情報をご利用の皆様に(日本新聞協会)
電子メディアおよび関連事業における個人情報の取り扱いについて
記事に対するご意見、ご感想はkpdesk@mb.kyoto-np.co.jp
京都新聞
京都新聞TOP