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特養の待機者 高齢化で一層「狭き門」に
京都市内の読者から「近所のお年寄りが老人ホームに入所できたが、ほとんど同じ境遇にもかかわらず、うちは2年以上待っているのに入れない」との声が寄せられた。特別養護老人ホーム(特養)の待機者は京滋で一万人を超え、高齢者の増加でますます「狭き門」になっている。現状と行政の対応を調べた。 電話を寄せたのは、足が不自由な義理の母親(83)を在宅介護する女性(56)。認定による要介護度は、今年に入って2から3に上がった。2年前余り前に近くの特養に申し込んだが、まだ「空き」の返事はないという。 「重くなる前にと早めに申し込んでいたのに、順番が回ってこない。その特養からは緊急性が低いといわれているが、最近、何でも手助けが必要で自宅での介護がきつい」。自身も手に関節炎を患っているという女性は声を落とす。「体の状態や家族状況がほぼ同じなのに、近所のあるお年寄りは1年くらいで特養に入所できた」ことにも納得がいかない様子だ。 介護保険がスタートする前、特養は行政が入所者を割り振る措置制度だった。「利用者による選択と契約」をうたった介護保険の導入以後は「申し込み順」で入所が決まるようになった。
運営基準を見直し
しかし、軽度の高齢者や複数特養への「予約的な申し込み」が殺到し、本当に特養入所が必要な人が入れないことが問題化した。そこで3年前に厚生労働省が運営基準を見直し、入所は「緊急度順」に変わった。これを受け、各都道府県や政令指定都市は優先入所の指針を設けている。例えば京都市では(1)要介護度3以上(2)単身か高齢の配偶者のみ、あるいは介護者が病弱か入院(3)居住環境に介護上、著しい問題がある−の3項目をすべて満たすと、優先度の基本評価がAとなる。2項目だけならB、1項目はC。市内のある特養では約600人の待機者のうち、A判定が半数前後にのぼる。 この判定を基に、在宅生活を継続できる可能性などを検討して入所の順番を決める。最終決定権は各特養に委ねられており、独自の基準をつくっている場合も多い。京都府内の特養施設長らは「職員数の問題もあり、医療ケアを受けているような手間のかかる高齢者は、これ以上増やせないという限界数がある」「通常より重い経済的負担がかかる新型特養では、入所者の経済状態も勘案する」と話す。
嘆願書作るケースも
入所までの待機期間は京都市内で平均2−3年だが、緊急度により半年くらいで入れることもある。読者の女性の場合、要介護度や介護者の状況から優先度は低いと判定されていたのは間違いないようだ。「近所のお年寄り」との比較は、申し込んだ特養によって細かな事情が反映される場合もあるので何ともいえない。現場経験の豊富な京都市内の女性ケアマネジャーは「どんな点で在宅介護が大変なのかを細かく聞き取り、その都度、特養側に伝えくれるケアマネを選ぶべきだ」とアドバイスする。特養側も「通常の申請書のほかに、入所嘆願書をつけてくるケアマネもいる。切羽詰まった内容なら無視できない」と打ち明ける。 厚労省は介護施設について「要介護4、5の重度者」の割合をさらに増やす一方、介護保険費用抑制のねらいもあり、施設数はあまり増やさない方針だ。 「それならば、ショートステイ(短期入所)の拡充など、在宅介護の支援をもっと充実してほしい」と女性は訴えている。来春の制度改正では、小規模多機能サービスや夜間介護の支援などが打ち出されてはいるが、どこまで有効なのか、成り行きが注目される。 ≪京滋の特養待機者≫ 厚生労働省が今年2月時点で公表した集計によると、京都府内の特養待機者は7420人(京都市を除く)、滋賀県は4638人(5月再集計)で1万人を超えている。 京都府は「入院患者などを除くと2631人になる」としている。京都市は調査中だが、2002年の公表では、総申し込み数は約1万7000件で「重複や入院などを除くと2033人」とした。 [京都新聞 2005年10月1日掲載]
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