The Kyoto Shimbun
サービス評価 第三者機関が客観的に

「京都介護・福祉サービス第三者評価支援機構」の設立総会
「京都介護・福祉サービス第三者評価支援機構」の設立総会(2005年10月・京都市上京区)
 どこで、どんな介護サービスが行われているのか、客観的な情報がほしい−。そんな利用者側の要望に応えようとする試みが進んでいる。第三者機関による介護サービス事業の評価だ。京都では2年前から徐々に広まっており、10月からは全国的にもユニークな「第三者評価を支援する組織」が動き出した。

 京都府内のある老人保健施設は昨年初め、第三者機関による介護サービスの評価を受けた。施設だけでなく、併設するショートステイ(短期入所)やデイケア(通所リハ)なども対象だ。

「自己評価」と併記で
 「健全な組織体制(組織力)」、「適正なサービス提供体(サービス力)」「利用者保護の観点(やさしさ力)」「サービスの質の向上の取組み(向上力)」の4つの尺度に沿って、50項目についてABCの3段階で評価される。結果は、施設側の「自己評価」と併記される。

 例えば、この施設は「利用者へのサービス提供状況が適切に記録されている」という項目で、自己評価はAだが第三者評価はBだった。その逆になった項目もある。それらを集計した全体の達成率で「やさしさ力」は自己評価75%、第三者評価60%−という具合だ。

第三者評価の例
京都府の第三者評価の例(ある特別養護老人ホーム):クリックで拡大表示
 こうした結果は、事業者の実名に評価機関のコメントも添え、インターネットですべて公開されている。評価を受けた施設スタッフからは「施設の中では気づきにくいことを指摘され、参考になった」「評価する側との見解の相違もあるが、より良いサービスを考える契機になる」など、前向きな受け止め方が多い。

 第三者評価の必要性がいわれるようになったのは、2000年4月に介護保険が「利用者による選択と契約」を掲げてスタートした時から。民間事業者が次々と参入する中、利用者からは「サービスを選んで契約するにも、うわさや口コミ頼りで十分な情報がない」との不満が高まった。そこで神戸市など先進的な自治体が第三者機関による評価に乗り出した。

 京都府も2003年度から独自の評価システムをつくり、2年間で府内204事業者を対象に実施した。訪問看護や療養型病院など医療系の介護サービスまで評価対象に含めたのは、全国でも例がない。

 ただ、評価への参加は任意のため、全事業者の約3割にとどまる。関係者の間では「評価を受けていない事業者こそ問題」との声が強い。また「評価機関によって能力差が大きい」という問題も指摘されている。

府が「支援機構」設立
 そこで府は今年10月に「京都介護・福祉サービス第三者評価支援機構」を設立した。評価の普及▽第三者評価を行う民間機関(現在は京都社会福祉会など13団体)の育成や認定▽評価項目の策定や改善など−を組織的に進めるのが狙い。70を超える府内の関係団体が参加した。

 介護・医療にとどまらず、障害者や児童福祉なども対象に広げ、一元的に取り組んでいく。府介護保険事業室は「受けない事業者が少数派になるくらい第三者評価を普及させ、利用者に役立ててもらいたい」とする。

 こうした自治体の動きとは別に、厚生労働省も2002年には「密室介護になりやすい」としてグループホームだけを対象に、第三者評価を義務付けた。さらに来春施行の改正介護保険法では、事業者にサービス情報の自己申告を課す。

 ただ、京都の福祉関係者からは「国はやっと自己申告というレベル。京都の取り組みが後退しないようにすべきだ」との見方がもっぱらだ。

永和良之助・佛教大教授
永和良之助・佛教大教授
◆判断材料に生かして
京都介護・福祉サービス第三者評価支援機構会長の永和良之助・佛教大教授(社会福祉)

 私自身も福祉施設を運営しているが、利用者のサービス選択権を保障しサービス事業者の質の向上をすすめるうえで、第三者評価は欠かせない。介護保険では本来、ケアマネジャーが利用者の代理人としてサービスを点検すべき役割を負っているが、事業者に所属している現状では機能しにくい。それを補う意味も大きい。

 第三者評価はまだ完全なものでなく、今後は▽評価水準の設定をさらに検討し、充実させる▽評価する側によき人材を得る▽利用者のサービス満足度をはかる調査方法の確立して盛り込む−などが大きな課題だろう。

 サービスを選ぶにも施設などの絶対数が足りない根本的な問題はあるが、利用者(介護家族を含む)は第三者評価の結果を一つの判断材料にしながら、実際に施設に足を運ぶなど可能な範囲で良質なサービスを選んでほしい。そういう姿勢が事業者側を変えていくことにつながるはずだ。

[京都新聞 2005年11月12日掲載]

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