The Kyoto Shimbun
マイケアプラン 京都発 自分らしく生きる

 「マイケアプラン」という京都発のユニークな活動が全国に広がってきた。介護保険のサービスを利用するための計画(ケアプラン)を、自分でつくろうという取り組みだ。4月からの法改正で、軽度者に介護予防制度が導入される中、利用者が主体的にケアプランにかかわろうという考え方が、一層注目されそうだ。

ユニットケア実践者セミナー(京都市左京区・京都会館)
マイケアプラン研究会は毎月、制度の学習会や情報交換を行っている(京都市下京区・ひとまち交流館京都)

自分で作成手続き
 京都市左京区のチカコさん(71)=仮名=は、糖尿病による視覚障害などで要介護1だ。週1回ずつ訪問介護と訪問リハビリを受けている。

 介護給付の申請に必要なケアプランは、5年前から自分で作っている。書類の書き込みには友人の手を借りるが、事業所への申し込みや月1回の区役所への書類提出は自分でやってきた。

 「最初は大変だったが、一度やると役所や事業所の理解も進み、そんなに難しくない。事業所探しは手間だが、電話で直接質問して受け答えを聞くだけでも、いい事業所かどうかある程度つかめる」という。

 「ケアプランを自分で作ることで、介護保険の活用法や限界も分かった」。足りない分は有償ボランティアを組み合わせるなど工夫する。「自分らしく生きることにつながっている」と笑顔をみせる。

 2004年4月スタートの介護保険は「利用者が自由にサービスを選んで、事業者と契約する」というのが基本原理。だから「ケアプランは自分で作るのが本来の趣旨に沿う。ただ、一人でつくるのが難しい人はケアマネジャー(介護支援専門員)に依頼できる。そこを、大半の人がケアマネでないとケアプランが作れないと誤解している。というか、誤解させられている」。京都光華女子大の小國英夫教授(社会福祉)は指摘する。

全国ネットワークも
 小國教授は介護保険がスタートする前年の8月、介護者や福祉関係者、京都市社協などと「マイケアプラン研究会」を結成。「自分のケアプランは自分で作ろう」と呼び掛けてきた。

 「ケアプランをケアマネ任せにすると、事業者の都合が優先されてしまうと危ぐした。ケアプランは本来、自分の生活プランであり、人生プランでもある。利用者が受け身にならず、自ら組み立てようと積極的にかかわる姿勢が大切だ」

 研究会では、自己作成の手引書を作ったり、保険者である市町村に「ケアプランは自己作成できる」とパンフレットなどに明記するよう求める活動を続けてきた。呼応するように、全国各地に同じ活動を進める市民団体が発足し、ネットワーク組織などもできた。

 厚生労働省の昨年の集計では、全国で約1500人がケアプランを自己作成している。ただ、重度要介護や認知症などの場合は本人の自己作成は難しく、実際は家族が作っている例が多い。

 「それでも事業者任せにするより意味は大きい」とマイケアプラン研究会員のケアマネ佐竹紀美子さんは言う。「団塊の世代の人たちが自分の親のケアプランをつくって仕組みを学び、自分たちが必要になった時に自分でつくるようになれば、かなり広がるはず」と期待する。

大切な本人の意欲
 4月からは、介護予防制度が導入された。これまで「要支援」や「要介護1」(認知症などは除く)と認定されていた人が対象で、全面的な家事代行が原則認められないなど制約が増える。

 冒頭のチカコさんも要介護1のため、11月に迎える認定の更新時に「どう判断されるか、サービスが制限されないか、不安がある」と話す。

 小國教授は「介護予防には本人の意欲が何より重要。その点で、ケアプランに本人が直接かかわる意義は一層大きくなる。自己作成の作業そのものも介護予防につながる。法的根拠のあるマイケアプランに、自治体の理解と体制を求めたい」と強調する。

≪メモ≫ マイケアプラン研究会が近畿2府4県の全94市を対象に行ったアンケート調査(昨年1月、回収率73%)によると、介護保険の説明パンフレットに「自己作成ができる」と記載している市は約65%。自己作成のための資料などを備えた市は20%余りだった。

■マイケアプランづくりの流れ
(1)準備 住まいのある市町村・区に自己作成する旨を伝え、提出用紙(サービス利用票・サービス利用別表)を入手する。事業者リストなどもあると便利。
(2)作成 サービス内容、回数、事業者を決める。
(3)予約 計画に沿って事業者に予約をとる。
(4)提出 提出用紙を行政に出すと、正式書類が交付される。
(5)契約 予約事業者に正式書類を送れば契約完了。後は毎月1回、利用実績を記入した書類と翌月の計画を提出すればよい。
 ※マイケアプラン研究会作成の手引書「私にもつくれますマイケアプラン」(1部300円)の「京都市の場合」を参考に作成。市町村で若干の違いがある。

≪参考サイト≫
 枚方市のケアプラン作成サイト、プランちゃん(http://plan.city.hirakata.osaka.jp/)は、単位や費用計算の目安を算出。
 全国マイケアプラン・ネットワーク(http://www.mycareplan-net.com/index.htm)は自己作成支援ソフトなどを掲載。いずれも介護予防への対応は検討中。
 マイケアプラン研究会(http://homepage3.nifty.com/mycare/)も相談に乗っている。  ほかに、最寄りの行政窓口や地域包括支援センターも活用を。

[京都新聞 2006年4月15日掲載]

▼前の記事介護のじかんTOP次の記事▲

各ページの記事・写真は転用を禁じます
著作権は京都新聞社ならびに一部共同通信社に帰属します
ネットワーク上の著作権について―新聞・通信社が発信する情報をご利用の皆様に(日本新聞協会)
電子メディアおよび関連事業における個人情報の取り扱いについて
記事に対するご意見、ご感想はkpdesk@mb.kyoto-np.co.jp
京都新聞
京都新聞TOP