●No.052



「日中翻訳鑑賞〜大切なあなたに伝えたい〜」
http://www.kjps.net/user/liuying/ 

劉穎さん

滋賀県守山市

 2つの国と言葉への思いを大切につづる
 なかにし礼「赤い月」、さだまさし「解夏」など、日中両国の小説や映画、歌詞の原文と中国語訳/日本語訳、解説を載せる。劉さん自身の各作品への思いや言葉に対する情熱が読ませる。現在の読者は1000人以上。
 劉さんの祖母は日本人。18年前、日本政府の残留孤児呼び寄せで一家で来日した。が、中国育ちで当時14歳だった劉さんには「祖国」日本は未知の国。言葉もわからず、入学した大阪の中学でも長い間ひとりぼっちだったという。  それでも、日本語への興味は人一倍。「美しい。ぜひ勉強したいと思いました」。熱意と周囲の助けが実り、少しずつ日本語と日本文化になじんだ。その過程で将来の夢を文芸翻訳家に定めた。
 だが「夢」を形にするのは難しい。ビジネス文書の翻訳などを手がけつつも、「私がやりたいのは文芸翻訳」との焦りに悩んだ。そんなとき、字幕翻訳者・戸田奈津子さんの「下積み20年」の言葉にはっとした。「夢は、生涯かけて追究すればいい」。その第一歩としてメールマガジンを創刊、自分なりに文芸作品の翻訳・発表を始めた。
 個人的な勉強のつもりが、反響は意外に大きかった。翻訳や中国語に興味を持つ人はもちろん、中国や台湾のビジネスマンから感想をもらうことも。なかでも忘れられないのが、祖母と同じ戦争を経験した70代男性からの手紙だったという。
 かつて悩んだ「2つの祖国」も「翻訳者としては強み」と思えるようになってきた。「日本語の『大切な』を中国語に直訳すると『重要』。でも日本語の『大切な人』には、かけがえのない、いとしい、愛するなどより細やかな思いがこもる。そのニュアンスを伝えたい」。そんな真摯(し)な熱意に満ちたメルマガだ。

2004.03.09

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