Kyoto Shimbun

できた! 小さくても確実な一歩

 算数の足し算の授業が始まっても、1年生のマコト=仮名=はいつまでも鉛筆で遊んでいた。

 4日前、足し算の宿題を半分近く間違ってしまい、休憩時間の教室で一人、副担任の先生から「特訓」を受けた。甘えて問題を投げ出そうとするマコトの手に、先生は何度もおはじきをにぎらせる。数個ずつを「ガチャン」と交ぜては数えさせる動作を通じて、足し算を教え直していた。

1年生にとって、足し算や引き算は算数の最初のハードルだ(京都市右京区)

 担任が黒板に新しい問題を書いた。「チョウチョウ4匹と3匹を合わせると?」。マコトは「4+3=」まで書いて考え込み、隣の子のノートをのぞいて「7」と書き入れた。2問目は「ウサギ3羽と3羽を合わせると?」。マコトは「3+3=」まで書き、指で数えたりしていたが、結局は隣をちらりで「6」。

 そして、3問目は「自動車2台と4台を合わせると?」。ところが、隣の子はマコトの視線に気づき、見せないよう筆箱で壁を作ってしまった。

 マコトはとりあえず、「2+4=」と書く。続いて、算数の足し算用のブロックから、2個と4個をばらばらに取り出した。小声で「ガチャン」とつぶやきながら、ブロックを一つにまとめ、次に5個と1個に分けた。5個と残りに整理するのは、先生から「わかりやすい形に直そうね」と聞かされてきたからだ。

 「2たす4は6。できた」。マコトは小さな独り言とともに、答えの6をノートに記入する。そして、うれしそうに周囲を見渡した。マコトを見ていたこちらと目が合うと、「2+4=6」と書かれたノートを両手で掲げ、自慢げに見せた。

  歩幅は小さいが、確実な一歩をマコトが踏み出した瞬間だった。こんな一歩の積み重ねが、学びなのだと実感できた。(文中敬称略)

[2006年7月20日掲載]