Kyoto Shimbun

友だちの失敗 励まし合いともに成長

 3年生の国語に「道あんないをしよう」という単元がある。道案内をすることで、順序よく話したり、聞いたりすることを学ぶ。その授業に参加することになった。

 「全員の名前を知らない記者さんに、ナカダ君=仮名=の席までの道順を教えてくれますか」

3年生の学級会風景。子どもたち自身で議論を深めていく

 指名されたテル=仮名=の指示を待つ。「まっすぐ行って、左に曲がってあっちに行って」。その通りに歩くと、目の前に壁。「あーあ」の声を背に、席に戻ったテルは泣きだしてしまった。

 「なんで間違えたのかな。どう教えてあげたらいい?」と先生が問いかける。「服の色を教える」「通路の何列目とか言わんとあかんで」…。

 机にうつぶしたままのテルにすまない気持ちでいっぱいになっていると、次の案内役、トシ=仮名=がやってきた。いきなり「あっちの…」と切り出したトシに、誰かが助け舟を出した。「あっちではわからへんで。列を言わんと」。その後も「あっ違う」「曲がる方向は?」と、絶えず声がかかる。そして、ある男の子にたどりついた。トシが大きくガッツポーズして、教室が沸いた。

 その時だ。だれかが「テル君の失敗があったから、みんなできてんでー」と言い出した。すると、せきを切ったように、あちこちから「そーや、失敗は成功のもとや」「テル君が失敗した分だけ、いっぱい勉強できたよ」…。やっと、テルが机から顔を上げた。

 「実は2人を指名するの、少し迷ったんです」。授業の後で先生が打ち明けた。とにかく涙もろいテル、トシは言葉で気持ちを伝えることがとても苦手だ。そんな2人を励ましながら、周囲の子どもたちもともに成長していった。子どもはすごい、と心から思った。(文中敬称略)

[2006年7月22日掲載]