Kyoto Shimbun

遊びの天才 変わったのは親や社会

 「なあ知ってる? じごくには、『おやじギャグじごく』があるねんで」。1年生の男の子がうれしそうに話しかけてきた。確かに、おやじギャグは寒すぎるが…。聞けば、子どもたちに大人気の児童書「かいけつゾロリ」シリーズに登場する地獄の一つで、血の池や針の山などと同様に恐れられているという。

水着で田植え。子どもたちは最初はこわごわだが、泥の中で遊び始めるとはまってしまう

 おやじギャグを地獄に例える作者のセンスに感心していると、隣の女の子が「あたし、おやじギャグ知ってる」と身を乗り出してきた。右手で相手をたたくような振りも付け、「そんなバナナ(ばかな)」と始める。

 「うまいね」とほめると、さっきの男の子も「そんなバナーナ」とやり出す。みるみるうちに、「そんなバナナ」を繰り返す奇妙な集団に膨れ上がった。子どもは何でも遊びに変えてしまう。

 太秦小校内の田んぼでは毎年、2年生が代かきから収穫まで一連の農作業を学ぶ。最初は不慣れな泥の感覚を警戒するが、数分もすれば泳ぎ出してしまう。長年、指導に当たっている近所の男性は「子どもは昔と同じ。変わったのは親や社会の方なんでしょう」と話す。

 その「親や社会」が時折、子どもたちの遊びの中で顔をのぞかせる。

 3年のクラスで担任の心を痛ませる出来事があった。ドッジボールでささいなけんかになった。すると、子どもたちは自分たちでドッジボールを禁じてしまったのだ。

 「今の子はすぐ『−したらだめ』と、物事を否定的にとらえてしまう。物は有り余っているが、心が育っていない」

 そのクラスで1週間、過ごした。担任は子どもに「−したらだめ」ではなく、常に「−はどう?」と問いかけた。「自己肯定感が希薄な子どもたちに、自分を高めてほしい」

[2006年7月25日掲載]