Kyoto Shimbun

保健室 子を「甘えさせる」場所

 太秦小の保健室では2人の養護教諭が、子どもたちを見守っている。

 始業のチャイムが鳴って10分後、男の子が1人で入ってきた。「おはようございます」。藤田はる奈先生と慣れた感じであいさつを交わす。もう1人の栗田宣恵先生が赴任してきた今春、その子はこう言って、1冊の本を手渡した。「ボク、アスペルガー(症候群)なので、この本を読んでボクのことを知ってください」

保健室では子どもたちが教室と違った表情を見せる

 藤田先生が健康観察簿のチェックを始める。各教室では出席をとる際、朝の体調を子どもたちに報告させている。「しんどい」ならS、「風邪」ならKなどと書き込まれるが、「Sが続くと心の問題を考えないと」と藤田先生。不定愁訴は一向に減る気配がないという。

 「しんどい」と、中学年の男の子がやってきた。いつものようにベッドで休ませる。10分後、担任が「よくなったら、教室に帰っておいで」と声をかけに来る。さらに30分後、「次は算数やで。聞いてるだけでも勉強になるよ」と担任。栗田先生の「また、しんどくなったら来たらいいし」の言葉にも励まされ、男の子は教室へ向かった。

 10分後、今度は低学年の男の子。絵本を見つけ、読み始めた。終わると「絵を描きたい」。そこで、藤田先生がすかさず「できたら、担任の先生に見せに行こか」と一言。教室に行けるのかどうか、自信のない子どもの背中を、少しだけ押してやる。

 その間も、小さなけがで飛び込んでくる子は絶えない。消毒だけだと「おしまい?」という表情。ばんそうこうを張ってやらないと満足しない。「目に見えること以外に基準がない。結果社会の象徴のような気もします」と藤田先生。机の上には「甘やかすのではなく、甘えさせよう」と書かれたメモがあった。

[2006年8月3日掲載]