Kyoto Shimbun

ともだち かかわりで自分確かめ

 「友達が憎たらしい。やり返してやりたい」。スクールカウンセラーが学校を訪れる火曜のある日、一人の生徒が相談にやってきた。

授業に臨む生徒たち。悩みの種類、深さはさまざまだ

 カウンセラーは、言い分を聞いた上で「やっつけてやりたいと思うのは普通のこと。友達を嫌いになるのも、当たり前のことなんやで」と声をかけた。生徒は封じ込めていた不満をぶちまけた。話したことで、少し気分が軽くなったようだった。

 この日、カウンセラーを訪ねたのは、生徒や保護者を合わせて9人。不登校や発達の問題などさまざまだが、友人関係の悩みが最も多い。中学生のカウンセリングに携わって10年。相談内容に大きな違いはないが、「最近の子どもたちはすぐに深刻に悩んでしまう、と感じる」という。

 からかわれたり、ちょっとした意見の違いで「友達に嫌がられている」と思い悩む。大人から見れば「なんでそんなことで」と思うが、「人とのかかわりだけで『自分』という感覚を保っている。だから、友人関係が崩れると、一気に自分を見失ってしまう」。リストカットなど自傷行為に走ってしまうのは、痛みを通じてしか「自分」を感じられないからだ。

 生まれてから十数年の間に、親や周りの大人から与えられた価値観や経験が「積み木」となり、物事の判断基準となる。その積み木を「崩して、改めて批判的な目で積み直すのが思春期」と、カウンセラーは言う。

 ところが、その積み木が少ない子が増えている。何かに寄りかからないと積み木が立っていられないのだ。

 「お父さんに怒られたとか、試合でレギュラーを外されたなど、いやな経験も大事。トラブルを避けようとする社会の在り方が積み木を少なくしていないだろうか」

[2006年10月21日掲載]