Kyoto Shimbun

部活動 楽しむ場 「個」が優先

 「今日はあの子どうした?」。放課後、練習を始めた部員を見渡して、テニス部顧問の先生が尋ねた。「塾で休みです」。ボールを打つ手を止め、部員が答える。

新人戦に向けて練習する部員たち。チームワークも重要な要素だ

 塾を理由に休むのは珍しいことではない。平日以外にも土日や夏休みに練習や試合の日程を組むと、家族旅行などを理由に休んでしまう。「団体より、『個』が優先している」。先生は、部活動に対する考え方の変化を実感する。

 魅力がなくなったわけではない。「部活が楽しみで、学校に来てんねん」。生徒たちは、授業では見せない晴れやかな表情でラケットを振る。部活動を心待ちにする姿は、自分が野球部でボールを無心に追った学生時代と変わらない。変わったのは、「先輩後輩の関係から礼儀を学んだり、『みんなでやった』一体感を感じる」ことが、部活動の一番の魅力だったことだ。

 それを知っているからこそ、厳しい練習に歯を食いしばって耐え、勝つ喜びを味わわせてやりたい。でも、「根性」や「気合」が通じる時代ではない。「励ますつもりで『帰れ』と言ったら、本当に帰ってしまう」と苦笑する。

 学力低下が強調される今、塾に行くのも、貴重な家族の休みに部活動を強制できないのも分かる。それでも「ただ楽しいだけの場所になっていないか」と思い悩む。

 試合が終わると、部員にその日の成果を振り返る「試合ノート」を付けさせている。ある日、練習では、すぐに音を上げてしまう生徒が「悔しくてたまらない」「絶対努力する」とつづっていた。

 「やった成果が報われたら必ず、生徒に自信が付く」。練習では、とにかく大きな声でボールを追い、返事をするように指導する。悔いなくやり遂げたという自信を持って卒業してほしいと願う。

[2006年10月26日掲載]