Kyoto Shimbun

15の春へ 「将来像」に揺れる心

 中学生活も、あと半年。夏を境に、高校の入学説明会の案内や進路ガイダンスが多くなった。廊下には日を追うごとに高校のポスターが増えていく。「入試モード」へと突入していく校舎の中で、3年生のミナ=仮名=は、いまひとつ実感が持てずにいた。

毎日のように高校のポスターが増えていく。進路選択は、情報選択でもある

 一週間前に配られた進路希望調査書は、締め切りが迫った今も白紙のままだ。「ここに行きたい」という高校が、まだ見つからない。

 「保育士っていいなあ」。ぼんやりとした将来の夢はある。成績抜群、とは言えないけれど、高望みをしなければ、多分、どこかの高校に行けると思う。でも、「どこ(の高校)を選べば一番いいのか、よく分からんねん」。明るく笑いながらも「みんな、どうやって決めるんやろう…」。揺れる心ものぞく。

 入試ってたくさん勉強しなければならないんだろうなあ、とは感じる。でも、入学した高校で「何を学ぶの」「何のために行くの」と聞かれると、返事に困ってしまう。

 公立の普通科はIからIII類まであり、II類はさらに文理や理数に分かれる。専門学科も増えてきた。私立のパンフレットには、一見して何を学ぶのかわからないカタカナ名のコースが並び、それも毎年のように変わる。「選択肢が増えたのはいいことだが、情報が選択できず、安易に高校を決めてしまう子も多い」。進路指導の先生でさえ、入試制度と毎年、格闘している。

 調査書の締め切り日。ミナは、自宅に近い公立高の普通科を第1志望に記入した。とりあえず出した感じは否めないが、「保育士は短大で勉強したらいいって分かった。高校で他にしたいことが見つかるかもしれへんし」と照れ笑う。進学先を選ぶ体験の中で、中学生たちは自分の将来像を初めて真剣に意識する。

[2006年10月28日掲載]