Kyoto Shimbun
「大学全入時代」とは何か 私大トップに聞く

立命館 長田豊臣総長 国立大がなぜ必要かが問われる

 −最近、教職員のストが続けて起きた。どう考える。
 学生のためになる教育のあり方を考えている。教職員の賞与1カ月分カットは、元の6カ月分が高すぎた。貴重な学費をいただくのだから、研究費などに有効活用すべきだ。今後議論は必要だが、給与も優秀な人には加算し、逆は削る方向に向かうだろう。

ながた・とよおみ 1962年立命館大文学部卒。99年から現職(大学長も兼務)。中央教育審議会大学分科会臨時委員、大学基準協会副会長なども務める。専門はアメリカ史。68歳。

 非常勤講師の雇用問題に対しては、語学教育の再編を考えている。専門の語学講師を派遣する会社を数年内にもつくりたい。教育の質が良くなるし、非常勤に頼るいびつな形も解消することができる。

 −小学校開校の意義は。
 昔と違い、最近は付属校の生徒の方が優秀な傾向が強い。小学校では理系に強く創造的な子を育てたい。地域に支えられることも重要で、京都の教育に熱心な層に来てもらえるようにならなければ。

 −拡大を続ける狙いは。
 守山市立守山女子高の移管で付属校は4つになる。今は1割強だが、2割程度を付属校から育てたい。移管の件では一部に批判もあるが、誤解が大きい。公的補助を受けてキャンパスを建てた平安女学院大の撤退で市や県と裁判になりかねないのを、うちが間に入ることで三方が喜ぶ形にした。批判はあたらない。

 −「大学全入時代」とは。
 なぜ国立大が必要なのかが問われよう。優秀な学生を集め知識を吸収させるのは発展途上国として重要だったが、創造性を殺している面もある。オリジナリティーが要求される時代には国立大のあり方は問題だ。多様性こそが創造性の原点であり、私は偏差値を信用していない。私大が偏差値の高さを威張りだしたら東大や京大と何が違うのか。

 基礎研究が国立大の専売特許のようにもいわれるが、トップレベルの私大も資金があれば十分可能だ。私大の15倍も国費をつぎ込む必要が本当にあるのか。国立大は大学院大学になった方が良い。

 −立命大は何を目指すか。
 研究力強化だ。そのために大切なのは共同研究で、現在の教員を組み合わせて新たな研究を生み出すプロデューサー的な人材を30人取りたい。大学院は旧帝大のように全学部に博士課程がある必要はない。先端総合学術研究科が好例だが、必要なのはうちにしかない分野。将来抜本的に再編する。映像学部に加え、生命科学系学部もつくる。私大の早稲田、慶應、立命館という評価は定着しつつあり、さらに高い目標を目指したい。

(連載おわり)
[2006年4月4日掲載]