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増える街中の空き家 安心して売れ・貸せる仕組みを 社会部・堀田真由美
京の街中で空き家が増えている。空き家の増加は人口減を招き、地域のにぎわいを消す。安全を脅かす恐れもある。空き家解消に向け、京都市は本年度から初めて対策に乗り出した。東山区の六原地域などをモデル地域にして、新たな「中古住宅流通」の仕組みを構築する計画だ。しかし、なぜ新たな流通が必要なのか。既存の不動産市場ではだめなのだろうか。 京都市内の総住宅数に占める空き家率は14・1%(2008年住宅・土地統計調査)。市中心部や古い住宅地を中心に増加しており、5年前よりも約1%増えた。市は今年3月に策定した「住宅マスタープラン」のシンボルプロジェクトに「空き家の流通促進」を挙げ、本年度「地域連携型空き家流通促進事業」として300万円を予算化した。 同事業では市内2カ所程度をモデル地域に選び、調査対象となる空き家を特定▽空き家所有者へのアンケート▽所有者・地元組織への聞き取り調査▽地元と不動産業者をつなぐ仕組み作りのための研究会設置−を行う。実際の空き家を使って「所有者・地域」「借り手・買い手」双方のマッチングを行い、契約にまでこぎつけたい考えだ。 同事業のモデル地域にまず選ばれたのは東山区の六原地域。東山では、空き家率が20・3%と、市平均を大きく上回る。六原地域では06年度に区や市景観・まちづくりセンターなどでつくる「東山空家再生調査推進委員会」を設置、空き家の目視調査や所有者アンケートを実施するなどして、空き家解消に向けて取り組んできた経緯もある。 同地域で実施した調査からは驚く数字も明らかになった。同地域の空き家のうち、賃貸や売買の対象として既存の不動産市場に流通しているのは5%のみだった。将来の子ども世帯用として近所に2軒目を購入してそのまま置いているケース、倉庫・物置として使っているケース、「簡単に売り貸ししない、できない」という京都人特有の意識から放置しているケースも数多く見られた。 六原学区自治連合会の菅谷幸弘事務局長(58)は「六原は地域の全員が顔なじみというコミュニティーがしっかりした地域。だからこそ所有者は、売った後、貸した後にも責任感を感じる。『誰にでも貸して町内でトラブルが起きたら困る』と思うからこそ、不動産市場にのせることに難色を示す」と話す。 一方、地域には若い人に入ってきてほしいという期待もある。六原地域では約3400人の住民のうち65歳以上が3割を超す。小学生は約80人。「年齢の偏りは地域の力を弱くする。地域のつながりを魅力と思い、まちの一員になりたいと思っている方に来ていただければ、まちに活気が生まれる」と菅谷さん。 「まちの一員」となる入居者を呼び込むには、市、所有者、地域、不動産業者らが知恵を絞り、「地域のつながり・きずな」を魅力的にアピールする仕掛けが必要だ。「住む人を選ぶ空き家」の流通の仕組みができれば、増加に一石を投じられるかもしれない。 [京都新聞 2010年7月28日掲載]
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