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外国人観光客の回復 収束しない原発、足かせ

文化報道部・仲屋聡
観光客でにぎわう観光案内所。5、6月から、欧米人の姿が再び見られるようになってきた(京都市下京区・京都総合観光案内所)

 東日本大震災の発生から4カ月が経過した。自粛ムードや原発事故で落ち込んだ京都の観光客数は最悪期を脱し、国内客を中心に回復傾向が出始めている。だが、外国人の戻りは鈍く、本格的な回復には、収束しない原発問題が足かせとなっている。

 春のシーズンに落ち込んだ京都の観光客は、5月ごろから徐々に改善の兆しがみえてきた。震災後、京都駅ビル内の京都総合観光案内所(京都市下京区)の利用者数は前年の7割程度だったが、6月は前年並みに戻った。「大型連休以降、観光の関西シフトで国内旅行者が増えた」(同案内所)という。

 一方で、外国人旅行者の戻りは鈍い。観光地周辺で個人客を中心に外国人が見られるようにはなったが、外国人の案内所利用は前年の6割にとどまる。震災前、外国人客が半数を占めていた京都市内のホテルでは、外国人の宿泊はまだ前年の2割程度。外国人がよく訪れる京都ハンディクラフトセンター(左京区)でも客の姿はまばらで「欧州の人は放射能の影響に敏感。原発問題が片付かないとどうしようもない」と頭を悩ませる。

 全国的にも、激減した訪日客の回復は喫緊の課題だ。日本政府観光局が14日発表した6月の訪日客数は、前年同月比36%減。4カ月連続で減ったが、減少幅は前月より14ポイント縮小した。諸国の渡航自粛や退避勧告の緩和もあり、明るい材料はそろいつつある。

 韓国や中国では激安日本ツアーを組む動きも出てきた。中国人観光客が多い西陣織会館(上京区)では、一時姿を消した中国人客は6月から前年の3割程度に戻った。買い物単価は安くなったが、大口の中国人団体客が戻りつつある事象には期待感が広がる。

 観光庁や関西広域連合、京都府、京都市、関連団体も官民連携で訪日客誘致に動いてきた。海外メディアの招待、広告掲載、動画配信で関西の安全性をアピール。それらが実ってか今月23〜28日に開かれる「国際血栓止血学会」の京都誘致にこぎ着けた。外国人6千人が参加する大型国際会議の経済効果は大きく、日本の現状を海外に知ってもらう機会にもつながるはずだ。

 府観光連盟、京都市観光協会の柏原康夫会長は「今後も留学生や訪日客を通じて安心安全のアピールを続け、京都を中心にオール関西で外国人観光客誘致を進めたい」とする。

 ただ、外国人観光客からは「原発事故に関する日本政府の話は信用ならない」との声も聞いた。観光振興は国が掲げる政策の柱の一つのはず。政治のごたごたで原発事故の収束が遅れ、それが観光客回復の足を引っ張っている事実を、政府は肝に銘じねばならない。

[京都新聞 2011年7月20日掲載]

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