The Kyoto Shimbun
取材ノートロゴ

同大学部移転で放置自転車増懸念 大学・店舗一体で対策を

地域報道部 生田和史
行政や警察、大学、住民らが参画する「烏丸今出川自転車対策プロジェクト」の会合。放置自転車解消へ知恵を絞る(京都市上京区役所)

 同志社大(京都市上京区)の文系学部が2013年春に今出川キャンパスに移転するのに伴い、キャンパス近くの烏丸今出川交差点で放置自転車急増の懸念が広がっている。現在でも歩道を自転車がふさいで高齢者や障害者の通行を妨げており、行政や大学と地域が一体となった放置自転車解消への取り組みが求められている。

 放置自転車は、同交差点の北西と南西にあるレンタルビデオ店、ファストフード店やコンビニ前に集中。夜間を中心に多い時には100台超が歩道に並ぶ。短時間の駐輪が特徴で、市や住民が自転車マナーのPRや撤去に力を入れてきたが、効果は見られない。

 同大学によると、京田辺キャンパス(京田辺市)からの学部移転で、今出川キャンパスは学生だけで7千〜8千人の増加が見込まれる。上京区が2年前実施した調査では、放置自転車429台のうち半数近くを同大生のものとみられる自転車が占めた。

 市自転車政策課は「8千人中半数が自転車を使えば、放置自転車が増え、歩行者が事故などの危険にさらされる可能性が増す」と指摘する。近くに住む室町地域女性会の木村芳子さん(67)も「スピードを出した自転車とぶつかりそうになり、怖い思いをしたことがある。これから先どうなることやら」と心配する。

 上京区は昨年8月、放置自転車解消を目指す同区基本計画に基づき、警察や市関連部署、大学や学生、住民からなる「烏丸今出川自転車対策プロジェクト」を設置した。

 これまで3回の会合で課題を総点検し、自転車を止めさせない工夫を検討。今年1月に上京区が行った調査では、放置自転車が多い歩道に人が立つだけでも不法駐輪が減るという結果も出ている。

 一方で、プロジェクトには、駐輪が集中するファストフード店やコンビニなどの店舗は参加していない。放置自転車解消には店舗の協力が欠かせないが、事務局の上京区まちづくり推進課は「正面から攻めても参加を断られる。今は協力関係を築くことが大切」とする。

 同大学は、学部移転に備え、大学の近くに約1200台を収容できる駐輪場を整備した。建設中の新校舎にも駐輪スペースを設ける計画で、学内の収容能力の拡充に力を注いでいる。ただ、プロジェクトで提案された大学の警備員による駐輪指導はいったん断った。他の対策についても「プロジェクト内で考えたい」(学生支援課)と答えるにとどまり、学外の放置自転車解消には消極姿勢のままだ。

 京都御苑に近い市中心部の烏丸今出川交差点が、放置自転車で埋まる光景は観光都市に似合わない。学生数の急増は、放置自転車のほかにもさまざまな面で影響があると予想される。

 行政と住民、大学、各店舗がより一層連携して放置自転車の解消を目指し、安心して歩ける歩道、ひいては住みやすいまちづくりに努めることが望まれる。

[京都新聞 2012年2月8日掲載]

▼前の記事取材ノートからTOP次の記事▲

各ページの記事・写真は転用を禁じます
著作権は京都新聞社ならびに一部共同通信社に帰属します
ネットワーク上の著作権について―新聞・通信社が発信する情報をご利用の皆様に(日本新聞協会)
電子メディアおよび関連事業における個人情報の取り扱いについて
記事に対するご意見、ご感想はkpdesk@mb.kyoto-np.co.jp
京都新聞
京都新聞TOP