The Kyoto Shimbun
取材ノートロゴ

過疎地の定住促進 住民と行政、本気の姿勢を

南丹支局 細谷周平

世木地域の空き家を調査する住民ら(13日、南丹市日吉町生畑)

 過疎高齢化に苦しむ地方の市町村にとって、都市部から新たに住民を招き入れる「定住促進」は避けて通れないテーマだ。南丹市では2011年に定住促進行動計画を策定、住民自ら空き家調査に乗り出した地域もある。一方で、田舎暮らしを望む人のニーズを自治体や集落が把握しきれていなかったり、情報伝達の仕組みが整っていなかったりするなど課題も多い。

 同市は、合併時06年の3万6176人(3月末)から、人口は緩やかに減少を続け、12年度末は3万4千人を割り込んだ。特に日吉・美山・八木の旧3町地域では、それぞれ毎年平均100人前後の減少が続く。

 市は取り組むべき事業として▽市内の空き家データベースの構築▽移住希望者への情報提供マニュアルの作成−などを挙げた。しかし、具体的なアクションプランは本年度中に策定するとしており、動きは緒についたばかりだ。

 同市日吉町世木地域の住民でつくる「世木の里づくり委員会」は本年度、地域内の空き家の調査に着手。棚田に囲まれた田舎暮らしを、都市住民に提案したいとしている。

 世木地域の空き家は9軒。同委では、所有者に売却や賃貸などの意向を聞いた上で情報をデータベース化し、移住希望者に提供したいとしている。また、新住民が地域に溶けこめるよう町内会費などのルールを調査し「集落の教科書」としてまとめる作業も並行して行っている。同委生活グループリーダーの谷口洋一さん(60)は「新たな仲間を迎え、絆を地域ではぐくみたい」と意気込む。

 一方、Iターン住民は定住促進策についてどう思っているのか。今年9月、長野県茅野市から南丹市美山町豊郷に移り住んだ渡辺あづささん(40)は「30〜40歳代の人が、何も知らない土地で家を買って定住というのはハードルが高い。住居を借りて2〜3年試しに住める仕組みが必要」と話す。渡辺さんは知人の紹介で、かやぶき屋根の民家を借りたという。

 また「草刈りなど集落の共同作業や農作業を体験期間に組み込んでみては」と提言する。「移住希望者はインターネットで情報を集めるが、ネット上で行政や地元住民が前面に出てPRすると安心感が得られる」とも訴えた。

 田舎暮らしを望む人に、地域の情報を伝える上で一番効果が高いのはネットだ。しかし、過疎地住民は高齢者が多く、ネットでの情報発信は不得手と言わざるを得ない。ホームページづくりなど、行政の手腕発揮に期待したい。

 また、Iターン定住者から話を聞き、ニーズをくみ取る機会も必要だ。美山では今年1月に移住者の懇親会が初めて開かれ、住み続けるために必要な施策など意見交換した。移住者を増やす一番のこつは、住民と行政が本気になった姿勢を見せることだろう。

[京都新聞 2013年11月20日掲載]

▼前の記事取材ノートからTOP次の記事▲

各ページの記事・写真は転用を禁じます
著作権は京都新聞社に帰属します
ネットワーク上の著作権について―新聞・通信社が発信する情報をご利用の皆様に(日本新聞協会)
電子メディアおよび関連事業における個人情報の取り扱いについて
京都新聞
京都新聞TOP