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メガソーラー計画 村が将来見据え対応を

京田辺・学研総局 住吉哲志
手前の山がメガソーラー建設予定地の一つ(南山城村北大河原)
手前の山がメガソーラー建設予定地の一つ(南山城村北大河原)

 京都府南山城村と三重県伊賀市の一帯で進む大規模太陽光発電所(メガソーラー)計画は、森林を伐採して合計100ヘクタールの土地を開発する。私有地がほとんどだが、村には住民の生活環境を守るため、将来を見据えた対応が求められる。

 メガソーラー計画が財政的に自治体にもたらすメリットは大きい。開発業者の説明資料によると、太陽光パネル設備への課税で固定資産税のうちの償却資産税は年6千万円に上る。

 村の2014年度決算では、ダムやゴルフ場などによる村の固定資産税は1億7千万円。村民税は1億2千万円で前年度比8・3%減。人口が2014年に3千人を割り、日本創成会議の「消滅可能性都市」に挙がる村には、魅力的な計画だ。

 だが、今回の計画は広大な面積の山を変形させ、樹木を太陽光パネルに置き換えることが盛り込まれており、環境が大きく変わる。ゴルフ場や工場などの跡地を利用したメガソーラーとは異なり、別の問題が起きる懸念がある。

 その一つが、山の保水力の低下だ。開発業者は、水路や調整池を設けて流量調整をするとした上で、「現状よりも安心安全になります」と強調する。しかし、村域で54人が犠牲となった1953年の大水害を知る村民は、近年多発する集中豪雨に耐えられるのかを心配している。

 生態系をはじめ、周辺のニュータウンや小中学校などへの影響も未知数だ。

 太陽光パネルの耐用年数は通常17年。仮に今回の計画が実施されたとしても、パネルに寿命が来た際、事業者がメガソーラーを継続するかはわからない。将来、事業者が村を離れても、敷地は開発前の状態には戻せない。跡地を住宅地やゴルフ場などに変える計画が持ち上がる可能性もある。メガソーラー以後を十分に考えておく必要がある。

 「景観が変わる可能性がある。村としてどのような方針をとるのか」。今月10日の定例村議会一般質問で、村議がただした。村が活性化の中核施設に位置付ける「道の駅」(2017年春開業予定)や学校などが予定地周辺に立つことが念頭にあった。

 手仲圓容(かずよし)村長は「民間同士の開発計画なので法にのっとり進めてもらう」と答弁し、住民から大きな反対がない限り、静観する姿勢を明らかにした。景観に関しては周囲が樹木で覆われ、ほとんど変わらないと説明した。

 森林開発や砂防工事などの許認可権限は府にあり、住民への計画説明は事業者が担っている。村は独自に計画を検証する義務を持たないが、地元自治体として文書で府に意見を述べることができる。府や事業者に任せきりではなく、積極的にメリットやデメリットを村民に示して議論を深め、村として守るべき価値を示す姿勢が求められる。

[京都新聞 2015年12月23日掲載]

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