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北陸新幹線京都府案 誘致にかける「決意」を

東京支社 広中孝至
北陸新幹線敦賀以西ルートを検討する与党委員会で舞鶴ルートを提案した山田啓二京都府知事(右から2人目)と門川大作京都市長(右)=衆院第2議員会館
北陸新幹線敦賀以西ルートを検討する与党委員会で舞鶴ルートを提案した山田啓二京都府知事(右から2人目)と門川大作京都市長(右)=衆院第2議員会館

 北陸新幹線の敦賀以西ルートを検討する与党委員会で、京都府が提案した小浜―舞鶴―京都案が調査対象のルートに残った。委員会は27日の会合で中間報告をまとめ節目を迎えるが、府の提案に対する各委員の反応は冷ややかだ。舞鶴延伸が「遠回り」になる上、工費も大きく膨らむことが予想される。府は地方負担見直しも求めているが、委員から「完全な地域エゴ」と厳しい声も聞かれる。府の案が理解を得るには、誘致にかける「決意」が問われている。

 調査対象は舞鶴案のほか、滋賀県が推す米原案、JR西日本が主張する小浜―京都案の3ルート。京都―新大阪間は大阪府箕面市付近を走る北回りと、関西学術研究都市経由の南回りも含まれそうだ。

 府の提案は、委員長の西田昌司参院議員(京都選挙区)が昨夏から訴える私案を踏まえた。1973年に国の整備計画で明記された福井県「小浜市付近」を通過し、福井市と同程度の経済規模がある丹後地域の中核都市の舞鶴市まで延伸し、府内を抜け京都駅へつなぐルートだ。

 府北部の地域振興だけでなく、南北間の高速鉄道網も構築できる。将来の建設構想の一つ「山陰新幹線」との共用区間とも位置づけている。

 ただ、沿線6府県から選出された委員の大半から受けが悪い。小浜から舞鶴まで延ばせば約40キロも距離が伸びることになり、国土交通省幹部も「北陸から舞鶴に行きたがる人はいない。勘弁してくれ、が本音だろう」と厳しい。

 総工費も膨らみ、工期も延びることが想定される。費用負担は総事業費の3分の2が国、3分の1を地方が負う。このうち各府県の負担は走行距離などに応じて決まる。舞鶴延伸に伴って京都府の負担が増えるばかりか、福井県にも負担を強いることになる。

 こうした事態を避けるため、山田啓二知事は地方負担のルール見直しを求めている。「単なる橋桁やトンネルにたくさんの地方負担を負わして良いのか」と訴え、経済波及効果などの便益に応じた負担割合への変更を提案した。

 しかし、この提案に対しても、「完全な地域エゴ」「これまで煮え湯を飲んできた北陸に対し無神経」などと厳しい声が相次ぎ、理解は広がっていない。「そもそも、京都はルールにのっとって財政負担する気があるのか」との不信感すら出ている。北陸選出の委員は「新幹線に正面から向き合った年数の差だ」と、突然、降ってわいたように出てきた府の提案を突き放す。

 調査結果を踏まえた審議は秋以降となる見通し。米原ルートは、過密ダイヤの東海道新幹線との乗り入れが困難としてJR西が難色を示している。小浜―京都案を軸とした検討が見込まれる中、京都府はどう巻き返すのか。応分の財政負担を覚悟した上で、延伸メリットを打ち出せないと多くの委員を説得できない。

[京都新聞 2016年4月27日掲載]

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