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なでしこジャパン新監督 次世代育成、手腕に期待

運動部 田中俊太郎
就任会見を終えポーズをとる「なでしこジャパン」新監督の高倉麻子氏=27日、東京都文京区
就任会見を終えポーズをとる「なでしこジャパン」新監督の高倉麻子氏=27日、東京都文京区

 サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」の新監督に、20歳以下代表監督も兼任する高倉麻子氏(48)が就任した。なでしこはリオデジャネイロ五輪アジア予選で敗退し、16年ぶりに本大会出場を逃した。次の五輪は自国開催となる2020年東京大会。世代別の指導で実績があり、フル代表で初の女性指揮官の手腕に期待したい。

 「五輪予選敗退は残念だが、積み上げてきた数々の栄光は消えない。私の役目はさらに磨きをかけ、もっと高いところへ選手を連れて行くこと」。4月の就任会見でこう抱負を語った高倉監督は16歳で代表デビューし、2度の女子ワールドカップ(W杯)、アトランタ五輪に出場。指導者としては14年に17歳以下女子代表を世界一に導いた。

 今回、なでしこが五輪出場を逃したことで、日本の女子サッカーが抱える課題があらためて浮き彫りになった。

 代表20人のうち、14人を5年前のW杯メンバーが占めたように世代交代が進んでいなかったことがひとつ。改善のためには、底辺の拡大を急ぐ必要がある。

 なでしこ3部のバニーズ京都SCのゼネラルマネジャーで、京都精華学園高女子サッカー部監督の越智健一郎さん(41)は「女子サッカー部を立ち上げる高校は増えているが、問題は中学世代」と指摘する。女子選手は小学校では男子とプレーできても、体格差が出る中学では部活がなく、クラブチームを探すしかない。競技環境の「谷間」を埋め、原石発掘に向けた選手の母数を増やすための方策が求められる。

 選手待遇の改善も不可欠。アジア予選の取材で、佐々木則夫前監督(57)が「支援を続けてほしい」と女子サッカーの将来に何度も言及したことが印象的だった。選手の多くはほかに仕事をしながらプレーする。五輪を逃したことで世間の関心が低下し、スポンサーが離れ、競技環境や選手の待遇がさらに悪くなることへの懸念からだろう。

 国内リーグの人気は代表の結果に左右されてきた。リーグ広報によると、1部の1試合平均入場者数は10年が912人。W杯で優勝した11年は2796人と3倍になった。今季も開幕戦は2400人を超えたが、同リーグはメディア露出を増やすなど人気維持へ知恵を絞る。「女子サッカーをブームではなく文化にしたい」。なでしこを引っ張る宮間あや選手の言葉は重い。

 高倉監督は代表選考について「その時に一番良いパフォーマンスをしている選手が基準。年齢で区切ることはしない」と話しており、若手にもアピールの機会が増えるだろう。越智さんも「高倉監督は各世代をよく見ている。次の黄金時代を築いてくれるはず」と評価する。東京五輪の前年にはW杯も控える。急成長するライバルのアジア勢は日本をよく研究している。難局が待ち受けるが、変革のチャンスと捉えて立ち向かってほしい。

[京都新聞 2016年5月4日掲載]

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