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広がるフードバンク 食品ロス減へ官民連携を

報道部 近藤大介
母子生活支援施設の担当者(右)に食品を届ける澤田代表。食品ロス問題を背景にフードバンク活動は京都でも広がりを見せる。課題解決には幅広い関係者の連携が欠かせない=京都市右京区、野菊荘
母子生活支援施設の担当者(右)に食品を届ける澤田代表。食品ロス問題を背景にフードバンク活動は京都でも広がりを見せる。課題解決には幅広い関係者の連携が欠かせない=京都市右京区、野菊荘

 賞味期限が迫ったり、家庭で余ったりした食品を生活困窮者に無償提供する「フードバンク」活動が京都府内で広がっている。背景には、貧困で毎日の食事にも事欠く人がいる一方、年間約600万トンもの食料が廃棄されている矛盾がある。しかし、支援先や食料を供給する企業の開拓など、活動の課題は多い。府は今年、食品ロスの削減に向けて活動団体や小売、福祉などの分野の関係者による会議を発足させた。制度整備や連携の緊密化など、会議への期待は大きい。

 京都でフードバンク活動に取り組む団体は、企業や個人から寄付された食品や食材を福祉施設や困窮者支援団体に提供し、母子家庭やホームレスの生活を支えている。いわば「食のセーフティーネット」の役割を担っており、不景気や格差が拡大する現代社会にあって、活動の重要性は増すばかりだ。

 しかし、食品を提供する支援先はフードバンク団体自らが声を掛けて探し出すことが多いという。セカンドハーベスト京都(京都市下京区)の澤田政明代表(50)は「支援を必要とする人に食料をどう届けるか。自治体や社協、支援団体が連携してつながりを作ることが大切」と指摘する。

 また、食品を提供してくれる業者の開拓も団体が抱える大きな課題だ。支援先での食中毒の発生などを恐れ、提供に二の足を踏む企業が多く、協力がなかなか広がらない。トラブルを補償する制度や行政の支援もない。

 一方、関東では積極的にフードバンクと連携を進める企業もある。大手スーパーの西友(東京都北区)は都内のフードバンク団体と協力して食材や食品を提供する。同社広報室は廃棄コストの削減や社会貢献のPRはもとより、「従業員のモチベーションを高めることにもつながっている」という。7年前に3店舗で始まった活動は約110店舗となり、将来は全国規模での実施を目指す。

 店舗販売や宅配事業を展開する京都生協などでつくる京都府生活協同組合連合会(京都市中京区)の酒向直之事務局長(61)は「継続的に行えるか、転売・再販されないか−などが事業者として食料提供に不安を感じる点ではないか」と推測する。その上で「企業が提供しやすい環境整備に行政のサポートも必要」と話す。

 府が今月、発足させた「食品ロス削減府民会議」にはフードバンク団体や、小売・流通業者、福祉関係者までさまざまなメンバーが名を連ねている。それぞれの立場を生かし、食料管理のルールや業者・団体間の協定づくり、支援先の開拓など、フードバンク活動への協力態勢を構築できないだろうか。食品ロスは消費者自身の問題でもある。私たちが食生活のあり方などを見直すことも問題解決の一翼を担うことにつながる。

[京都新聞 2016年8月24日掲載]

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