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大山崎町の活性化 天王山PR「勝負の分かれ目」

洛西総局 藤井契人
火縄銃のごう音が天王山の麓で響いた「大山崎天下取り決戦祭り」。多くの歴史ファンが訪れ、2日間にわたる多彩な催しを楽しんだ=京都府大山崎町円明寺・天王山夢ほたる公園
火縄銃のごう音が天王山の麓で響いた「大山崎天下取り決戦祭り」。多くの歴史ファンが訪れ、2日間にわたる多彩な催しを楽しんだ=京都府大山崎町円明寺・天王山夢ほたる公園

 京都府大山崎町にそびえる天王山。豊かな歴史と自然、人気のハイキングコースを備え、地元住民の憩いの場でもある。町はこれまでその魅力をうまく発信できていなかったが、最近は観光施策の中心に位置付け、古戦場を縁に岐阜県関ケ原町と歴史観光事業で連携するなど天王山PRに力を入れている。大山崎町の観光消費額は低迷しており、地域が活性化できるか「勝負の分かれ目」を迎えている。

 天王山は標高約270メートル。1582(天正10)年の「山崎の合戦」で羽柴秀吉が明智光秀と対決した地であり、「天下分け目の天王山」で知られるように勝負の代名詞となっている。山中には、幕末の禁門の変で敗走し、新撰組に追われて自害した志士をまつった十七烈士の墓や、山崎城跡など各時代の名残がある。近年の登山ブームの中、比較的登りやすい山として老若男女の人気を集めている。

 大山崎町は今、その天王山を切り札にする。関ケ原町役場で6月、共同会見した両町長は甲冑(かっちゅう)姿で登場。「どちらが真の天下分け目の地か」と互いの町自慢を繰り広げ、切磋琢磨(せっさたくま)して観光を盛り上げる宣言をした。その後のイベントも盛況だった。天王山夢ほたる公園(大山崎町)で初開催された「大山崎天下取り決戦祭り」には光秀ゆかりの地・亀岡市から火縄銃の演武隊が招かれ、歴史好きの吉本芸人も話芸を披露。多彩な催しがあり、2日間で計約6千人(主催者発表)が訪れた。

 普段は静かな町役場にも報道各社の取材が相次いだ。情報発信には「分かりやすさ」と「ユニークさ」の掛け合いが肝なのだと感じた。

 町民サイドも少しずつだが、天王山をPRする動きが見られる。今年から祝日に制定された「山の日」の11日には、住民団体「天王山をまもる会」が初企画した歴史登山クイズラリーがあった。参加した親子連れらが道中に設置されたポイントを巡り、かつてこの地で繰り広げられた合戦や歴史に思いをはせた。

 町は関ケ原町以外にも、他府県の自治体とのコラボを仕掛け、観光相乗効果を狙う。茶人・千利休ゆかりの茶室「待庵」(国宝)があることなどから堺市との連携に着手。首長同士が協力を確認しあい、今後、町歴史資料館で両市町の共通点をテーマにした企画展を開催する予定だ。

 府の調査では、2015年度の町の観光消費額は1億2800万円と府内6番目に低い。だが、町内には天王山の他、大正―昭和期の実業家加賀正太郎の別荘を改築した「アサヒビール大山崎山荘美術館」、昭和期のエコ住宅「聴竹居(ちょうちくきょ)」など魅力ある資源は多い。インバウンドツアーの需要が高まり、全国的に増えている外国人観光客の取り込みも含め、まちの地域資源を最大限生かすことで、さらなるにぎわいが生まれることを期待したい。

[京都新聞 2016年8月31日掲載]

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