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海外で競技かるた人気 人気持続へ連携必要

滋賀本社 堀田真由美
近江神宮で競技かるたの練習会で対戦したミュニッツさん(右)とマイさん=大津市
近江神宮で競技かるたの練習会で対戦したミュニッツさん(右)とマイさん=大津市

 小倉百人一首の札を挟んで向かい合う2人が、札を取り合う「競技かるた」が海外で人気を集めている。競技かるたに青春をかける高校生を描いた漫画「ちはやふる」のアニメが海外で放映されたのを機に外国人ファン層が広がっているためだ。国内の競技会でも外国人選手の参加は珍しくなくなった。行政や競技団体は連携し、百人一首の海外普及に力を入れてほしい。

 ちはやふるは2007年12月に漫画の連載がスタート。日本では11年にアニメが放映され、50以上の国と地域で配信されている。漫画は台湾、香港などで翻訳され、国際的作品に育った。漫画の舞台となった大津市の近江神宮には外国人観光客も多く訪れる。

 8月5日、ブラジルのトゥーリオ・ミュニッツさん(23)と中国の柳仲達さん(26)、米国のトニー・マイさん(28)の外国人3人が、同神宮を参拝した。島根県で7日に開かれる競技会に出場するため、滞在日程の中に「聖地」訪問を盛り込んだ。

 ミュニッツさんは、母国ででアニメ「ちはやふる」を見て競技かるたに興味を持ったという。3年前には日系ブラジル人を誘って愛好会「サンパウロめぐりあひ会」を立ち上げた。柳さんも中国のかるた会に所属、マイさんも米国のかるた会で腕を磨く。

 3人を案内した米国在住のストーン睦美さん(53)は競技かるたの海外普及の第一人者。「伝統文化とスポーツが組み合わさり、ほかの国に類似したものがない。外国人は驚きと新鮮さを感じる」と話す。読み上げられた数音で取り札を判断するため、日本語が分からない外国人でも楽しむことができるのも特徴という。競技かるたの選手だったストーンさんは、結婚で海外に移り住んで以降、15年間にわたって海外普及に取り組んできた。カザフスタンやタイ、米国、中国でかるた愛好会を立ち上げ、海外の催しでは競技かるたを紹介した。

 ストーンさんによると、フランスやドイツなどでも、自主的にかるた会が立ち上げられているという。しかし、日本と各国のかるた会を結ぶネットワークがない。「かるたをやりたい選手が孤立しないように」と、ストーンさんらが個人レベルで情報収集し、各地の団体を訪問して交流や普及に取り組んでいる。

 今年は島根県での競技会に合わせ、山口県かるた協会が競技会の翌日から1泊2日で海外在住者の合宿を初めて企画。ミュニッツさんら3人を含む14人が練習試合を繰り返して交流を深めた。「自費で何十万もかけて来てくれた選手に、満足してほしかった」とストーンさんは語る。

 競技かるたが海外で広まれば、日本文化の理解や観光誘客にもつながるが、個人頼りの普及活動には限界がある。ブームで終わらせないために各種団体や行政との連携が今後は一層必要と思う。

[京都新聞 2016年9月7日掲載]

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