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クルーズ船舞鶴寄港 連携、工夫で地域にぎわいを

舞鶴支局 加藤華江
埠頭でクルーズ船の乗客を出迎え、記念撮影に応じる「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクターたち(鳥取県境港市・境港)
埠頭でクルーズ船の乗客を出迎え、記念撮影に応じる「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクターたち(鳥取県境港市・境港)

 舞鶴港(舞鶴市)に今夏、クルーズ船「コスタ・ビクトリア」が日本海を周遊するツアーで計10回寄港した。乗客は船が港に停泊中、天橋立(宮津市)や京都市などで観光を楽しんだが、舞鶴から向かうお目当ての地がなかった乗客も多かった。来年は舞鶴にクルーズ船が35回以上寄港する見込みだが、府北部のにぎわい創出につなげるためには課題も多い。

 コスタ・ビクトリアのツアーは、5泊6日の日程で舞鶴と博多港(福岡県)、金沢港(石川県)、境港(鳥取県)、釜山港(韓国)の計5港を巡る。運航会社は各港で日帰りバスツアーを提供、金沢では兼六園など、境港では「水木しげるロード」への便や、出雲大社(島根県)に行く便も提供された。

 舞鶴港からは舞鶴市内、天橋立、京都市にそれぞれ向かうバスツアーがあったが、天橋立に行く乗客が多く、港から西舞鶴駅までシャトルバスで移動して京都丹後鉄道で車窓を楽しみながら天橋立に向かう人もいた。

 ただ、舞鶴港で取材すると「毎日遠くまで行くと疲れちゃうから舞鶴では近場を散策しようと思うけど、何があるのか分からない。どこかいいところありませんか」と逆に質問されてしまった。乗客のさまざまなニーズを満たす用意はできていないのが現状のようだ。

 コスタ・ビクトリアのツアー寄港地の一つの境港も、クルーズ船の寄港は今年34回(昨年24回)と増えている。境港は鳥取県と島根県が設立する境港管理組合が管轄、両県の連携は密だ。鳥取県米子市と境港市、島根県松江市と出雲市と安来市は「中海宍道湖大山圏域市長会」を結成、境港管理組合などと共に、コスタ・ビクトリアの寄港日には「ゲゲゲの鬼太郎」のキャラクターや松江城の武将隊が出迎え、港から駅までのシャトルバスを米子市の自動車会社が運行するなど、県や市をまたいで協力して観光振興につなげようとしている。

 府北部でも6月、5市2町を一つの観光圏として連携する「海の京都DMO」が設立された。DMOは複数地域で「観光地域づくり」に取り組む組織。来年のクルーズ船乗客に向けて海の京都DMOは、運航会社の日本代理店に丹後ちりめんなど府北部ならではの「体験型ツアー」を提案、地域への経済効果を期待する。府海外経済課の森川浩行日本海側拠点港推進担当課長は「観光情報をたくさん持つDMOが観光振興の鍵となる。北部全体が経済効果やにぎわいを感じられるよう取り組んでいく」とした。

 港は、全国そして世界に地域をPRする格好の場所になる。魅力的な体験型ツアーのメニュー化を進めると同時に、乗客により楽しんでもらう歓迎と案内の工夫が不可欠で、それは市民の無償の協力だけでは続かない。

[京都新聞 2016年9月28日掲載]

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