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女性活躍の行動計画 経営者の意識改革が先決

報道部 小野俊介
京都ウィメンズベースが主催した女性社員向けの研修会。働く女性への偏見を排除する取り組みも求められる(京都市中京区)
京都ウィメンズベースが主催した女性社員向けの研修会。働く女性への偏見を排除する取り組みも求められる(京都市中京区)

 女性活躍推進法が4月に施行されたことを受け、京都府内でも支援拠点の設置や女性社員向けの研修会開催など、働く女性を支援する動きが出始めた。企業に行動計画を策定させ、女性の就労環境改善につなげるのが同法の狙いだが、企業の社員を取材すると、「女性は家庭に入るべき」といった経営者や管理職の偏見はなお根深いと感じた。こうした偏見を排除しなければ、政府が掲げる「女性活躍」は画餅に終わるだろう。

 推進法は従業員301人以上の企業に行動計画策定を義務付け、管理職に占める女性の割合などの数値目標や職場環境の改善状況などを外部に公表するよう定めている。府内では従業員301人以上の289社はほぼ全社が策定済みだが、「努力義務」扱いで府内の企業の大半を占める中小企業は、約9万社のうちわずか28社(9月末現在)にとどまっている。

 府や京都市などは支援拠点「京都ウィメンズベース」を中京区に開設し、行動計画策定を企業に働き掛けている。企業による行動計画づくりは、女性が働きやすい職場環境を考えるきっかけになるというメリットはあるだろう。

 一方で、ある生命保険会社の調査では、2020年に企業の課長職の女性比率を15%にするという政府の女性登用目標を達成できると考えている女性の割合は2割に満たなかった。管理職登用を希望する女性の割合も男性に比べてまだまだ低い。企業が管理職の女性比率の数値目標を達成できたとしても、長時間労働の是正や仕事と家庭が両立できる職場環境がなければ、苦しむのは女性だ。

 市内の清掃会社で事務職として働く女性(43)は「社長自身が『女性は結婚して子どもを産めば無理して働かなくていい』と公言している。そんな会社で出世したいとは思わない」と嘆く。塾講師の男性(30)は「経営陣は長時間労働を是としてきた世代。上の意識が変わらないと会社は変わらない」と警鐘を鳴らす。

 京都産業大の藤野敦子教授(労働経済学)は「法整備よりもまず、女性が活躍できる環境を整えることが先決だった」と指摘する。また、明確な理由もなく女性の採用を控えたり、女性の出世を阻んだりする風潮を「無意識の差別」と位置づけ、「企業は優秀な女性を取りこぼしていることに気付くべきだし、行政は企業の意識改革に率先して取り組むべきだ」と訴える。

 今月6日に府や京都市などでつくる団体が下京区で開いた「女性活躍サミット」。ゲストとして招かれた首相夫人の安倍昭恵氏は自身の体験を基に、「女性が殻を打ち破って自由に飛び回り、能力を十分に発揮すれば社会は変えられる」と話した。だが、最も大切なのはそうした自己責任論ではなく、社会全体が女性への「無意識の差別」を認識し、このような風潮を変えていく意識の醸成ではないだろうか。

[京都新聞 2016年12月21日掲載]

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