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丹後ちりめん300年へ 地域一体で再生の好機に

京丹後支局 大西保彦
丹後の織物業者が提供した素材を使って作られた服を着てパリコレの舞台を歩くモデル。丹後織物への海外の評価は高い(1月23日、フランス・パリ市庁舎)=京都府丹後広域振興局提供
丹後の織物業者が提供した素材を使って作られた服を着てパリコレの舞台を歩くモデル。丹後織物への海外の評価は高い(1月23日、フランス・パリ市庁舎)=京都府丹後広域振興局提供

 丹後の地域経済を長く支えてきた織物業を代表する「丹後ちりめん」が、2020年に創業300年を迎える。同年には東京五輪・パラリンピックも開かれる。多くの訪日外国人客が見込まれることから、関係者は丹後の織物文化を広く発信する好機ととらえる。低迷が続く丹後織物の再生につなげるため、柔軟な発想で節目の年に向けた取り組みを進めてほしい。

 丹後ちりめんの歴史は、森田治良兵衛(現在の京丹後市峰山町出身)が京都・西陣で技法を学び、丹後に持ち帰って製織に成功した1720年に始まる。1927年の北丹後大地震による織機倒壊などの試練を乗り越え、73年には年間生産量がピークの920万反に達した。だが、その後は減少に転じ、昨年は31万反にまで落ち込んでいる。

 減産とともに、織物業に携わる人の高齢化も深刻だ。

 京丹後市が昨年行った調査では、市内の織物事業所の従業者1528人のうち、60歳以上の割合は78・5%。一方で若年層は10代0・1%、20代1・4%、30代2・5%にとどまる。操業中の830事業所のうち93・6%が「後継者がいない」と答えた。8割超の事業所が西陣織を専門にしているのを考えると、丹後の衰退は京都の織物業全体に大きく影響するとも言える。

 丹後織物工業組合や京都府などは1月16日、「丹後ちりめん創業300年事業実行委員会」を設立した。新たな販路開拓・新商品開発▽産地を支える生産基盤の再構築▽地域全体での流通環境の改善▽あらゆる機会での情報発信−を事業の柱にすえ、丹後が地域一体となって取り組むとする。

 販路開拓では海外PRで光明も出ている。

 昨年10月、織物業者とフランスの高級服ブランドのクリエーターが交流。今年1月のパリ・オートクチュール・コレクション(パリコレ)で、京丹後市と与謝野町の8業者が提供した螺鈿(らでん)織や藤布などの素材で作られたテーマ「乙姫」の服が登場した。丹後織物の歴史も紹介され、パリコレに出向いた府丹後広域振興局の担当者は「今までに見たことがない生地と言う人もいて、高評価だった」と話す。

 同実行委は今後、外部から総合プロデューサーを招き、具体的な計画を策定して事業を展開する。委員長を務める同組合の渡邉正義理事長(67)は「国内外のデザイナーとの企画や技術継承の映像製作、京都の西陣織と京友禅とのタイアップなども検討したい。一過性でなく、将来につながる形にしなければならない」と語る。

 丹後ちりめん創業300年の取り組みは丹後織物の物語を次代に紡ぎ、日本最大の絹織物産地の生き残りをかける挑戦でもある。地元紙としてどのように伝えていくのか。記者も自身に問い、考えていきたい。

 

[京都新聞 2017年2月1日掲載]

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