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「京たけのこ」のブランド戦略 観光と絡めた仕掛けを

洛西総局 石田真由美
東京で6日に初めて行われた、京たけのこに特化したPRイベント。さしみやタケノコご飯などを味わう参加者ら(東京都内)
東京で6日に初めて行われた、京たけのこに特化したPRイベント。さしみやタケノコご飯などを味わう参加者ら(東京都内)

 春の味覚、タケノコのシーズンが近づいてきた。京都市西京区から乙訓地域に続く西山山麓は「京たけのこ」の産地で知られる。「京都式軟化栽培法」と呼ばれる特殊な栽培方法で育てられ、日本一の品質と言われるものの、全国的な知名度はいまひとつだ。京都府はブランド力強化に乗り出しているが、成果を上げるには多面的な取り組みが求められる。

 ブランド強化へ府が力を入れるのが首都圏への出荷だ。今月6日、府や京都産業21は京たけのこに特化したPRイベントを東京都内で初開催した。府流通・ブランド戦略課は「広く知ってもらい、首都圏での消費を増やしたい」。

 ただ、首都圏出荷には課題が多い。JA京都中央(長岡京市開田4丁目)は昨春、十数年ぶりに、西山産のタケノコ300キロを京のブランド産品として東京の市場に出荷した。だが、見込んでいた価格の6割程度の値しか付かないものもあった。「シロコと呼ばれる最高級品の良さを、東京の市場関係者が見分けられなかった」(農協関係者)という。また首都圏は輸送に時間がかかるため、「朝掘り」という新鮮さを付加価値として生かすことも難しい。

 しかもタケノコは、一度ゆでてからしか食べられないため、手間がかかると家庭で敬遠されつつある。国の家計調査でも一世帯当たりのタケノコの年間消費額は2008年に比べ14年は約14%減少した。いくら京たけのこが店先で並ぶようになったとしても、首都圏の消費者が果たして購入するか疑問が残る。

 そのため府は今後、水煮など加工品の販売も合わせて強化するとしている。だが、安い中国産の水煮が大量にスーパーに並んでいる中で価格競争に巻き込まれかねない。また、加工するほど「えぐみがなく甘味のある京たけのこの良さがわかりづらくなる」(加工業者)のが難点だ。

 ブランド力強化で求められるのは、まず他地域にはない独自の栽培法で大切に育てられている点を広く理解してもらうことだろう。次に、その味の良さを実際に舌で感じてもらう機会を増やすことだ。

 タケノコの収穫時期は桜のシーズンと重なる。例えば、京都に桜を見に来た観光客に、タケノコを食べてもらえる工夫を考えてはどうか。朝堀りタケノコをその日のランチに出すことも可能で、一番おいしい状態で味わってもらえる。料理の写真はフェイスブックやツイッターに投稿する人も多く、そうしたネット上の「口コミ」効果も期待もできる。京たけのこを使ったランチやディナーメニューを用意するよう地元の飲食店に協力してもらうなど、観光と絡めて京都に来て食べてもらう仕掛けを考えるべきだ。

 ターゲットを明確にし、誰にどう売り込むのか。行政や加工業者、飲食店、生産農家が連携し、農産物、加工品、観光を結びつけて、さまざまな方法で知恵をしぼってほしい。「春の京都といえば、桜とタケノコ」と言われるようになることを期待している。

[京都新聞 2017年3月15日掲載]

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