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広がる「ビワイチ」 安全な走行環境の整備を

湖南総局 西田昌平
交通量が多い白鬚神社近くの国道161号線で、矢羽根マークに沿って走るサイクリスト(高島市)
交通量が多い白鬚神社近くの国道161号線で、矢羽根マークに沿って走るサイクリスト(高島市)

 滋賀県内10市の琵琶湖岸一周約200キロを自転車で回る「ビワイチ」が着実に広まりつつある。滋賀の新しい観光資源として発信し、各自治体がサイクリストの受け入れ体勢を整える一方で、参加者から「車が近く、危なかった」という感想も聞かれる。いち早い走行環境の整備も求められそうだ。

 ビワイチは春から初夏にかけてと秋がシーズン。県が今年4月に設けた「ビワイチ推進室」によると、参加者の推計は2015年度が約5万2千人、16年度は約7万2千人と増えた。湖岸沿いはほぼ平らな道が続き「若い女性でも気軽に参加できる。京阪エリアからサイクリストが集まり、滋賀の観光資源になりつつある」(同室)。

 ビワイチの起点のまちを目指す守山市は、移動支援としてJR京都駅と湖岸のホテルなどを結ぶシャトルバスを運行。県などでつくる滋賀プラス・サイクル推進協議会も、トイレ休憩や自転車用工具貸し出しなどをする拠点を約140カ所に設置した。

 一方で、走行ルートの安全面に不安を感じるサイクリストの声がある。白鬚神社(高島市)付近の国道161号はスピードを出す車が走り、交通量も多い。今月24日、初めてのビワイチ中という大阪市の会社員飯田晋也さん(43)は「大型トラックがそばを走ると危ない。車にとっては(自転車は)邪魔ですよね」と話した。

 国土交通省近畿地方整備局は、車道脇の約75センチに自転車の通行エリアを示してドライバーに注意喚起しようと、同神社近くの約7・5キロに青い矢印の道路標示「矢羽根マーク」を整備中だ。しかし、飯島さんは「マークはありがたいが、道路脇は細かいでこぼこがあり、走りづらい。自転車専用のレーンがあると安全で助かる」と語った。

 他にも危険なルートはある。JR湖西線の小野駅から大津港(大津市)までの県道と市道を合わせた計約16キロは車の交通量が多い。藤ケ崎龍神(近江八幡市)付近の県道は歩道がなくなり、道幅が急に狭くなる。

 県は18年度までに県道約100キロに矢羽根マークを設置するが「他の対策は検討中」(県道路課)。ビワイチ推進室は「サイクリストの感想や要望を生かし、本年度末までにビワイチ推進総合計画をまとめる」としている。

 国内有数のサイクリングコースとして知られる愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶ「瀬戸内しまなみ海道」の約70キロの路肩には、ぬれても滑りにくい自転車専用レーン「ブルーライン」がある。両市や広島、愛媛両県が整備し、愛媛県は「自転車の安全を守り、サイクリストの聖地になるよう県と市が一体となって進めてきた」とする。今治市によると、2015年度は推計で過去最高の約32万5千人の愛好家が訪れた。

 ビワイチが「いまいち」とならないよう、安全対策が必要になっている。

[京都新聞 2017年6月28日掲載]

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