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部活動指導員 ルール作りを改革契機に

滋賀本社 岡本壮

女子バスケの練習試合で生徒に指示を出す外部コーチの中川さん(中央)=長浜市弓削町・びわ中
女子バスケの練習試合で生徒に指示を出す外部コーチの中川さん(中央)=長浜市弓削町・びわ中

  学校外部の人材を学校職員に位置付け、中学高校の部活動指導を任せる「部活動指導員」を国が制度化した。単独で部の顧問にもなれ、長時間勤務が問題化している教員の負担軽減につながると期待される。滋賀県教育委員会は導入を検討し、京都府教委はモデル校を指定して検証を始めたが、従来の外部コーチより責任が大きくなるだけに、クリアすべき課題は多い。

 部活動の外部コーチは、京滋の多くの学校で活躍している。長浜市のびわ中学校。7月の県中学総体で優勝した女子バスケットボール部は、日本バスケ協会の指導者資格を持つ近くの建設業中川泰隆さん(46)が週末を中心に指導を手伝う。「先生の方針が第一」と、サポート役に徹するが、顧問が不在の時も的確な指示で効率よく練習は進む。顧問の河村真也講師(29)は「指導方針を共有してもらい、教員の負担はかなり減っている」と感謝する。

 部活動の顧問は、競技経験に関係なく割り当てられることが多い。指導法が分からず悩む一方、結果を求める保護者の重圧に苦しむ教員の声をよく聞く。問題解決の一助にと、滋賀県教委は地域のスポーツ指導者らを各学校に派遣し、国の予算がついた2016年度は中高で計56人が指導した。本年度は県の独自事業として計30人を派遣する。謝礼は1回2千円。完全なボランティアも含め外部コーチは約150人いる。

 「部活動指導員」は、学校教育法の施行規則に規定され、顧問として大会の引率も可能になる。県教委の担当者は「国が示した権限では会計管理や生徒指導なども可能で、かなり枠が広い」と話す。導入に当たっては「どういった人材に何を任せるのか」というルール作りが大事になる。青木洋教育長は「強化だけでなく、教育の面からの検討も必要。何かの資格がある人がいいのか、人材をどう確保すべきなのかなども含め、じっくり時間をかけて制度設計したい」と慎重な姿勢を見せる。人件費となる財源の確保も大きな課題だ。

 功罪はあるが、部活動が生徒指導の役割を担ってきた現実がある。「部活あっての学校」という教員の声も根強い。外部の人材に指導の権限を移すのは越えるべきハードルは高く、まずは部活動の在り方を徹底的に見直すことを優先すべきだろう。

 部活動は結果を求めて教員や生徒、保護者ともに過熱しがちだ。国は適切な休養日の設定を指導するが、形骸化している面もある。ルールを厳格化し、「長時間苦しい練習を行う」ことが美徳とするような価値観から脱したい。練習の質を高める工夫を共有して大会数を減らし、地域総合型クラブとの連携を進め、教員の負担軽減と競技力向上を図るのも一案だろう。

 「部活動指導員」導入のルール作りを、部活動を本気で改革する契機にできないか。その前提として「生徒のために」という視点を貫くことを求めたい。

[京都新聞 2017年8月2日掲載]

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