The Kyoto Shimbun
取材ノートロゴ

転換期のスーパー・百貨店 ニーズとらえた戦略を

報道部 近藤大介
既存の業務スーパーの真正面で新しいスーパーの建設が進む宇治市の住宅地区。同市では食品スーパーの出店ラッシュが続いている(同市伊勢田町)
既存の業務スーパーの真正面で新しいスーパーの建設が進む宇治市の住宅地区。同市では食品スーパーの出店ラッシュが続いている(同市伊勢田町)

 長引く消費不振やインターネット通販の台頭で、流通・小売業界が大きな転換期を迎えている。中でも、出店競争が過熱気味の食品スーパーや、売上高が減少傾向にある百貨店業界は、ひときわ厳しい事業環境にある。今後も生き残るためには、地域の消費者から必要とされる店づくりや、時代のニーズをとらえた事業戦略が求められている。

 京都市郊外や宇治市などの京都府南部では、食品スーパーの出店ラッシュが続いているが、その様相は過当競争に近づきつつある。少子高齢化で売り上げを伸ばすには店舗数を増やすことが効率的であるためだが、それは限られたパイの奪い合いとイコールでもある。スーパー関係者からは「京都は既にオーバーストア(店舗過剰)。必ず淘汰(とうた)はある」との声も聞こえる。

 行き過ぎた出店競争は、消費者の不利益につながりかねない。京都市西京区嵐山や北区原谷では、近隣にできた食品スーパーやコンビニエンスストアとの競合で、地場経営のスーパーが閉店した。車などの移動手段がない高齢者らは、移動販売車や店舗への送迎車を利用して食料品や日用品を入手してはいるが、品数が限られたり、自分の好きなときに買い物に出られないなどの不便を強いられている。

 こうしたひずみを生まないためにも、地場の小売店は、地域との連携や住民との関係づくりを強めるなど、客足を維持する努力が求められる。消費者自身もまた、地域に根差した店舗を利用することで経営を下支えし、将来に残していく意識が大切だろう。

 百貨店業界は、インターネット通販や安価な量販店の台頭に押され、衣料品を中心に販売不振が続く。直近の数カ月は売上高の減少に底打ち感も見られるが、訪日客の購買で押し上げられた側面が強く、国内需要はいまだに「低空飛行」(百貨店幹部)の状態だ。中心顧客である中間所得者層の客離れは続いている。

 販売不振を抜け出すため、一部の大手百貨店は売場をテナントに貸すなどの不動産事業に力を入れているが、本業である小売部門の回復を果たさない限り、ジリ貧は避けられない。さりとて、食料品階の改装や、自前で仕入れから販売まで手掛ける自主編集売り場への注力といった程度の対策では、力不足の印象が拭えない。

 現代は、あらゆる商品を気軽に購入できるネット通販が身近になり、モノを所有せずに共有する「シェアリングエコノミー」(共有型経済)も根付きつつある。再び消費者を百貨店に呼び込むには、フロアの入れ替えや、取り扱いブランドの大幅な見直しなどの抜本改革が欠かせない。京都では、多店舗展開や他の商業施設との連携など、地域を巻き込んだ活性化策も進められている。今後は店舗の垣根を越えた協力などで取り組みをさらに強めるべきだろう。

[京都新聞 2017年8月23日掲載]

▼前の記事取材ノートからTOP次の記事▲

各ページの記事・写真は転用を禁じます
著作権は京都新聞社に帰属します
ネットワーク上の著作権について―新聞・通信社が発信する情報をご利用の皆様に(日本新聞協会)
電子メディアおよび関連事業における個人情報の取り扱いについて
京都新聞
京都新聞TOP