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国民民主党 多難な船出 内向き脱しゼロから再構築を

東京支社 笹井勇佑
国民民主党初の街頭演説会で聴衆に新党結成の意義などを訴える大塚、玉木両共同代表と泉氏(東京都千代田区・JR有楽町駅前)
国民民主党初の街頭演説会で聴衆に新党結成の意義などを訴える大塚、玉木両共同代表と泉氏(東京都千代田区・JR有楽町駅前)

 希望の党と民進党が合流して「国民民主党」が今月、設立された。公文書改ざんなど安倍晋三政権下で不祥事が続発する中、両党は「野党の大きな固まりが必要」と訴えてきたが、不参加の動きが相次ぎ、当初狙っていた野党第1党に届かなかった。新党協議を通じて政党や支持組織の論理が先行した印象もあり、今後、新党の存在感を示していくのは容易ではない。

 「もう一度、自民党に対抗し、政権構想を示せる野党をつくるため、歯を食いしばって頑張る」。東京・有楽町で14日に行われた国民民主初の街頭演説会。大塚耕平、玉木雄一郎両共同代表とともにマイクを握った泉健太国対委員長(衆院京都3区)が行き交う人たちに訴えかけた。

 昨年の衆院選後に合流予定だった両党だが、リベラル系の「排除」を受けた立憲民主党誕生や、希望の選挙結果の不振を受けて参院議員らが反発。当時の前原誠司民進代表(衆院京都2区)も最終的に民進の存続を決断した。

 ただ、地方組織のない希望、国会議員が参院に偏る民進ともに政党支持率は1%台と低迷。事態打開に向け、両党は昨年末から統一会派など連携を模索してきた。

 新党構想が浮上したのは今年3月末。背景には来年の統一地方選、参院選を控え、早期の結集を促す最大の支持組織・連合の意向があった。

 「中道的な新しい党をつくる」(大塚氏)との掛け声で始まった希望と民進による新党協議だったが、取材を通じて新たな旗印を掲げる積極性を感じる場面はなく、むしろ幅広い結集のための「調整作業」という印象が強かった。

 特に両党間で政策に違いのあった憲法改正と安保法制に関しては、本来なら議論を尽くして妥協点を探るべきところを、両党代表者による短期間の協議で民進の方針をほぼ踏襲することが固まった。保守色の強い希望の一部議員の離反は見越した上で、民進に多いリベラル系に配慮した選択だった。

 しかし、皮肉にも立民との連携を重視するリベラル系が相次いで新党への不参加を表明し、一部は立民に入党した。結局、国民民主への参加は設立時点で衆参計62人と両党議員の合計の約6割にとどまり、立民が勢力を増す結果となった。

 京都の衆院議員は前原氏と泉氏、山井和則氏(比例近畿)が国民民主に参加したが、井上一徳氏(同)は分党で新たに設立された「希望の党」を選んだ。

 曲折を経て船出した国民民主だが、有権者の視線は厳しい。共同通信社が5月12、13の両日に実施した世論調査で国民民主の支持率は1・1%。4月の前回調査の希望(1・7%)と民進(1・1%)を足した数字にすら届かなかった。

 低支持率は新党設立に向けた動きが「国民を置き去りにした利己的な野党再編」と受け止められた結果のように思える。「国民」の名を冠した新党が誕生したいまこそ内向きの論理から脱却し、有権者との対話を通じてゼロから党を再構築していく姿勢が欠かせない。

[京都新聞 2018年5月16日掲載]

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