The Kyoto Shimbun

(3)弾む気持ちを詰め込んで


季節の素材を使った素朴な手料理をお弁当風に盛る。ふたの花彩が華やかさを演出

 東山区馬町の陶芸作家の先生のもとで修業していたのですが、その後、五条の窯元へ通わせて頂くことになりました。京焼の伝統を生かしながらオリジナルで新しい茶陶、割烹(かっぽう)食器などを焼いておられるところで。

 窯元は、ロクロ師、絵付師(染付・上絵)、釉(ゆう)掛けに窯の出し入れなど雑用をする裏師など6、7人の分業で成り立っていました。私は、磁土を泥漿(でいしょう)にして石膏(せっこう)型に流し込み、石膏の吸水性を利用して鋳込(いこ)み成形をする作業のほか、釉掛けや窯詰め、窯出しの手伝いをさせて頂くことになりました。

 清水寺門前、五条坂、茶碗坂かいわいは、陶芸作家や窯元が多く、近藤悠三記念館、河井寛次郎記念館があります。所狭しと清水焼作品が棚に並ぶ小売店や土産物店が立ち並び、緑豊かな東山の自然に囲まれ独特の雰囲気があり、年中、観光客や修学旅行生でにぎわっています。

 今でも、小売店に作品を届けた帰り道を、産寧坂、二寧坂と両脇のお店をのぞき見しながら小路を通り祇園へと抜けることがあります。意外な発見や四季が感じられ、好きです。

 そんな五条坂で思い出すのは、1971年ごろ、工業試験場の同期と清水六兵衛先生の登り窯の薪運びのアルバイトをしたこと。一輪車に松割り木を積み込み、細い通路を抜け、窯場に積み上げていきます。よろよろして、ひっくり返しながら、何往復もし、1000束から1500束は運んだでしょうか。懐かしく貴重な経験です。

 それが、清六窯最後の窯焼きだったのではないかと思うのですが…。その後、共同で登り窯を焼き続けられていたのですが、窯が駄目になってしまい、京都市内では煙が上がらなくなりました。登り窯から吹き出る煙の煤(すす)が環境問題になったり、窯の炎を火事と間違え修学旅行生が通報したと言う話も聞いた事があります。

 やがて、大気汚染防止の規制ができ、ガス窯に電気窯が主流となっていったのです。これも時代の流れでしょうか。今も数基の登り窯が当時の面影を残しています。いつの日か、再び炎を上げることを願い、保存されているのです。(雅美)

  5月は新緑が美しく、行楽には良い季節ですが、作品展が重なる季節でもあり、主人は制作で外出する機会が限られます。その合間をぬって、近くの山科毘沙門堂や疏水へ出かけると、山の緑や木々が美しく、わずかな時間でもさわやかに、ホッとした気持ちにさせてくれます。

 そんな想いから、今回のお料理は行楽のお弁当をイメージしようと主人に相談したところ、2段重ねのふた器があるとのことで、その器を使うことにしました。

 メニューは、1段目に歯ごたえを味わうタコと食が進むスッキリ梅を合わせた「タコの梅大葉ごはん」。2段目には黄身が目にさわやかな「だし巻き玉子」、緑美しい「ニンジン葉のごまあえ」、春の香り漂う「ヤマブキの煮物」。赤いイチゴと、淡い緑が美しいツバキの葉も飾り、彩りよく盛り合わせてみました。(泰子)

 妻が料理に使ってくれた☆赤織部花彩ふた器は、土のかたまりを成形した後、3つにスライスし、それぞれ土を掻き出し、ふた付の2段重ねの器に仕上げました。加飾の花には、染付けの磁片を細かく砕き、半がわきの器にその磁片を螺鈿(らでん)風に押し込んで花文様に絵を描き出しました。

 素焼き後、織部釉を掛ける折、磁片の花に釉がかからないよう、ゴム液でマスキングをし、花文様を浮き出させます。炭を使って1220℃の炭化焼成で赤と緑の☆赤織部のふた器に焼き上げました。(雅美)

☆は「曜」の「日」の部分が「火」という字です。


タコの梅大葉ごはん

【材料】
米1カップ、梅干し大2個、タコ(刺し身用)50グラム、大葉5〜6枚

【作り方】
(1)ごはんは普通に炊き、梅干しは種をとり果肉はつぶしておく。
(2)タコは1センチ角ぐらいに切り、大葉はたて半分に切ったあと細切りにして水にさらしておく。
(3)それぞれをご飯とまぜ合わせて盛る。

だし巻き玉子

【材料】
卵3個、だし汁80cc、薄口しょうゆ小さじ1.5、砂糖小さじ2/3、汐わかめ小さじ1

【作り方】
(1)卵を割りほぐし、だし、しょうゆ、砂糖を入れる。
(2)汐わかめは洗い熱湯にさっとくぐらせてみじん切りにし、卵に加えて焼く。

ニンジン葉のごまあえ

【材料】
ニンジン葉100〜120グラム、すりゴマ大さじ3、薄口しょうゆ小さじ1、砂糖小さじ1/2、だし汁小さじ2

【作り方】
(1)熱湯にひとつまみの塩を入れ、ニンジン葉をさっとゆで、水に取り、粗熱が取れたら水気を絞り、3センチに切る。
(2)すりごまに調味料を合わせてあえる。

ヤマブキの煮物

【材料】
ヤマブキ120グラム、昆布5センチ角2枚、ちりめんじゃこ15グラム、だし汁2カップ、酒大さじ1、みりん大さじ1、砂糖小さじ1.5、濃口しょうゆ大さじ1/2、薄口しょうゆ大さじ1

【作り方】
(1)ヤマブキを4〜5センチに切り3分ぐらいゆでる。
(2)コンブは1センチ角に切る。
(3)だし汁にヤマブキ、昆布、ちりめんじゃこ、調味料を入れ、煮汁が少し残るくらいまで煮含める。

[京都新聞 2007年5月28日掲載]

毎月第4週に掲載します。

片山雅美(かたやま・まさみ)
1950年京都市生まれ。京都市工業試験場修了後、陶芸家西川實氏に師事。日展会友、京都工芸美術作家協会理事、日本新工芸家連盟評議員。
片山泰子(かたやま・ひろこ)
1954年、京都市生まれ。

かわいらしいお弁当箱のように見える☆赤織部花彩ふた器(☆は「曜」の「日」が「火」という字です。)

想い出の作品


1976年ごろ、手にひとつかみの土をにぎって、指先で押さえたりひねったりといじっている間に、人を連想させる形ができ、それにひも状にした土を手に足にしてくっけてみました。1体が2体…と増え、器の上に座らせているうちに、人が集い楽しげに話す姿、寄り添う恋人たち、小鳥や子犬も登場させて…などと、増やせば増やすほど楽しくなっていきました。一段が二段、三段と積み重ね、公募展に『仲間』・『屋』・『想い』のタイトルで出品、1980年には京都工芸美術作家協会展で、京都府知事賞を頂きました。


旬花


季節に合わせた短冊と白☆彩(はくようさい)の掛花生(かけばないけ)を使って、山あじさいとホクシヤを生けて玄関脇に飾ってみました。(☆は「曜」の「日」が「火」という字です。)

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