The Kyoto Shimbun

(4)七夕の夢 楽しげに涼しげに


器の市松模様が、料理の色彩と相まって、夏らしい華やかさを引き立てる

 いよいよ五条の窯元での修業が始まりました。2代目は、特にロクロの技術が優れておられ、1978(昭和53)年に宮家が清水焼団地を訪問された折、京都を代表してロクロ成形の実演をされたと後日聞いたことがあります。

 回転する磁土を、見る間に寸分の違いもなく、リズミカルに手早く無駄のない動きで引き上げる。高台を削り出すだけの薄さの器、大物小物も自由自在…と、ただただ驚くばかりです。

 素焼きの器に、絵付師が呉須(コバルト)で勢い良く、伸びやかに花鳥風月と人物を描き、そこに、だみ師が薄めた呉須を太い筆にたっぷりと含ませ、たらし込みながら塗っていく。焼き上がると、清白に藍の濃淡で立体感と動きが出ます。祥瑞(染付磁器)は、絵付師とだみ師の筆加減ひとつです。

 さらにその上に、上絵の五彩(赤青緑黄紫)に金・銀などで多彩な色付けをして低火度で焼いた色絵の作品もあります。こういった熟練の技術こそが、京焼、清水焼の伝統であり、それを受け継ぐことで次の時代の伝統が生まれてくるのです。とにかく手わざが、目の前で見られることが一番の修業でした。

 そんな折、陶芸作家・西川實先生が、泉涌寺東林町から深草の竹林に工房を移されることになり、修業に来ないかとお声をかけてくださいました。1971年、深草の地で住み込みで内弟子として、勉強させて頂くことになりました。(雅美)

 このごろ初夏を感じる日差しですが、少し遅い梅雨に入りました。家の前の植木も茂り、道行く方々も暑苦しそうなので先日、主人が植木屋さんに変身して刈り込んでくれました。

 山科には農家も少なくなりましたが、田には苗が植えられ緑美しく風に揺られています。最近山科でも、数は少ないものの、沢辺にホタルが飛び交うようになりました。もうすぐ七夕。子供のころ、色テープでリングを連ねた吹き流し風の飾り付けや折り紙の花を作り、色紙の短冊にはお習字やスポーツの上達、健康などの願いごとを書き入れ、竹笹にこよりでくくりつけました。夜は、空を見上げて天の川を探しました。はっきりと探し当てた記憶はないのですが…。

 そんなことを思い、今月のお料理は、蒸し暑い七夕を意識して、ひんやりしたお豆腐に、カラフルな七色の食材を七夕飾りに見立てて使った「七彩お豆腐あえ」を作ってみました。(泰子)

 七夕をイメージした彩りある料理を盛るということで、器も色紙を連想させる市松(いちまつ)の練り込み技法で成形し焼き上げた器を使いました。

 焼き物で市松を作るには、色の違った2種類の土を交互に積み重ね、次にストライプになるように土をスライスします。さらに、方向を変えて今回の器のように1センチ角の正方形になるようスライスし、互い違いに並べて碁盤目模様に貼(は)り合わせた土の板のことです。

 その板を使って四角い色紙を折り曲げたような器に成形し、透明釉(ゆう)を掛けて焼き上げました。

 なお第29回日本新工芸近畿展が7月10日−15日に京都市美術館で開催されます。赤織部の作品「赤生」を出展しておりますので、ご覧ください。(雅美)


七彩お豆腐あえ

【材料】
木綿豆腐1/2丁、枝豆(さや付き)70グラム、トウモロコシ1/4本、ニンジン30グラム、干しシイタケ中葉1枚、ひじき大さじ1/2、板こんにゃく5ミリ2枚、ホタテ貝柱3個

【作り方】
(1)豆腐はペーパーに包んで水気を切っておく。ひじき、干しシイタケは水洗いし水につけてもどしておく。
(2)干しシイタケのもどし汁50ccに砂糖小さじ1、薄口しょうゆ小さじ2/3でひじき、うす切りにした干しシイタケを煮て、さましておく。
(3)こんにゃくは塩少々でもみ洗い、5ミリの短冊に切り、だし汁40cc、砂糖小さじ2/3、塩少々で煮てさましておく。
(4)ニンジンは5ミリの短冊に切り、トウモロコシはそぎとり、塩ゆでする。枝豆は洗い、塩でもみ、ゆでる。
(5)ホタテは2枚にスライスして1センチ角に切り、酒大さじ1、塩少々でさっと煮る。
(6)すりごま大さじ2、砂糖2/3、塩少々、薄口しょうゆ2/3、だし汁大さじ1の中に、水気を切った豆腐を入れ、他の具も入れてソフトにあえ、器に盛り付ける。

[京都新聞 2007年6月25日掲載]

毎月第4週に掲載します。

片山雅美(かたやま・まさみ)
1950年京都市生まれ。京都市工業試験場修了後、陶芸家西川實氏に師事。日展会友、京都工芸美術作家協会理事、日本新工芸家連盟評議員。
片山泰子(かたやま・ひろこ)
1954年、京都市生まれ。

焼き物で市松模様を作るには、違う色の土を重ねてはスライスし、慎重に貼り合わせていく

想い出の作品


1985年ごろ制作した彩紋作品です。土を板のように組み立て、手びねりとで動物の形に成形。素焼き後、土に顔料のトルコ青を混ぜた色土を塗り重ね、黄と緑の色土で彩紋加飾をして華やかに描き入れました。口も付けてあり花を生けても楽しめる作品です。このころ、他に彩紋作品として、一輪挿し、カップに皿、香炉などを制作しています。


旬花


粉引足付器に、しもつけ草、つゆくさ、水引草を寄せ植え、苔(こけ)も植え付けて、緑が涼感を漂うようにしつらえました。

記事一覧

Copyright(C) 1996〜2007 The Kyoto Shimbun Co.,Ltd.