The Kyoto Shimbun

(5)涼誘う夏野菜のみずみずしさ


緑織部とチタン釉の掛け分けの涼しげな大皿に、夏野菜の漬物寿しを

 陶芸作家・西川實先生は、1970年の日展で菊華賞を受賞、工房を泉涌寺東林町から深草の地へ移されました。母とごあいさつに行ったところ、人も車もあまり通らず、竹笹がサワサワザワザワ。澄みきった空気の、竹林に囲まれた小高い所に2階建ての工房がありました。入ると新しい木の香りが漂い、作品を管理する大きな室(むろ)があり−室とは成形した作品が乾燥しすぎないように管理する押し入れのようなもの−、その奥に4台の電動ロクロが据えられていました。先生と東林町時代から弟子修業の先輩とが並んでロクロ成形中。その手を止めて私たちを出迎え、今後のことを話してくださいました。

 先輩と2人、工房の台所で自炊、2階で寝泊まりする、5番目の弟子として修業させて頂くことになったのです。後日、秋田犬の「ラック」も一緒に…。家を離れての生活に自炊は経験がなく、心配性の母は何度も「大丈夫…大丈夫か」と不安げ。先輩と相談しつつの生活と聞いて少し安心したようでした。

 工房内には、応接を兼ねた陳列室に原料置き場、調合された釉薬が入った甕(かめ)やバケツがいくつも並ぶ棚があり、作業場の奥には電気窯が2基すえられていました。陳列室にあったのは、日展や工芸展の出品作。大きく、存在感があり、土の表情が力強く焼きしめられた作品や、美しい釉薬で焼かれたオブジェに、「これが陶芸作家の作品なんだ」と胸おどらせたものです。

 菊華賞の受賞作品「千佛(阿陀志野(あだしの)」は、高さ70センチのやわらかいフォルムに影絵のように仏さまが連ね並べてありました。幻想的な奥深さと静けさが漂い、心を穏やかにさせる作品でした。(雅美)

 料理を盛る器には、最近焼き上げた、緑織部とチタン釉の掛け分けの大皿を使うことにしました。この皿は、土を手でたたき延ばし、波の動きを表すよう、波音が響き聞こえるよう思い描きながら作りました。重厚だが涼しさを感じさせる器です。どのように使ってくれるだろうか…。(雅美)

 暑中お見舞い申し上げます。夏も本番。京都特有の蒸し暑い毎日で、ついつい「あつい」と言ってしまいます。体調もくずしやすく、食にも涼がほしくなる季節。ハモや鮎(あゆ)も大好きですが、野菜売り場では瓜(うり)やなす、きゅうりなど、地物のみずみずしい夏野菜が並べられていて目にとまります。

 焼きなす・葛(くず)あんかけ・漬物としてよく食しますが、今回は涼しげな緑織部掛け分けの大皿を使うので、その器に合い、さっぱりとした、目にも涼しげな「お漬物寿し」に。色彩も考えて盛り付けてみました。付け合せの新生姜(しょうが)もわが家の手作りで主人の好きな一品です。(泰子)


お漬物寿し

【材料】
米1カップ、出し昆布5センチ角1枚、酒大さじ2、合わせ酢(酢30cc、砂糖大さじ1小さじ1/3、塩小さじ1/2)、土生姜のみじん切り 小さじ2

【作り方】
お米を出し昆布、酒を入れて少しかためのすし飯用に炊き、合わせ酢に合わせ、土生姜は粗めのみじん切りにしてご飯にまぜる。ご飯を一口大に握り、漬物を好みの大きさに切り、彩りよく盛りつける。

ぬか床を作る

(1)熱湯600ccを冷ましておく。
(2)密閉容器にぬか500グラムと(1)を入れ混ぜる。
(3)赤とうがらし5本は半分に割り、昆布5センチ角1枚は適当に切り、塩50グラムとぬかに混ぜ合わせる。
 野菜を何回か漬け込むと、野菜からの水分が出て旨みが増し、味がなじんできますが、好みで塩・ぬかなどを足して調整していくと良いでしょう。漬かりの色が良くなるように、野菜に薄塩をすり込み漬けます。
 夏はぬか床を冷蔵庫に入れておくと、漬け込む時間は少し長くかかりますがぬか床の管理がしやすく、食する時冷たさも味わえます。瓜・なす・葉付き小かぶは1〜2日、きゅうり1日、みょうが・ラディッシュ半日ぐらいで色もよくあっさりです。

新生姜の甘酢漬

【材料】
新生姜100グラム、酢60cc、砂糖大さじ1と1/3、塩少々、湯冷まし大さじ2/3

【作り方】
新生姜の皮をむき、繊維にそって薄切にして水にさらす。水気を切って、熱湯でさっとゆで、ざるに上げる。熱いうちに甘酢に漬けて、薄紅色に味をなじませる。

[京都新聞 2007年7月30日掲載]

毎月第4週に掲載します。

片山雅美(かたやま・まさみ)
1950年京都市生まれ。京都市工業試験場修了後、陶芸家西川實氏に師事。日展会友、京都工芸美術作家協会理事、日本新工芸家連盟評議員。
片山泰子(かたやま・ひろこ)
1954年、京都市生まれ。

自作の道具で点てた薄茶を頂き、暑い夏も涼やかに

想い出の作品


陶芸の道を歩みだしたころ、両親が自宅に電動ロクロと小さな灯油窯を買ってくれた。休日を利用して制作し、焼き上げた「天目茶☆(わん)」。手になじみ、今でも良くお茶を点てて頂く。灯油窯には、煙突とバーナーに送風機がついており、短時間で焼き上げられる。朝に火を入れ昼過ぎには焼き上がる。小さくても煙突から吹き出る炎はゴーオ・グォーと迫力満点でわくわくする。作品は表裏の表情が豊かで窯変しやすく、思いもよらぬ良作になることも。失敗の方が多かったが十分に楽しむことが出来た。
※☆は、「苑」の草冠を取り、下に「皿」という字です。


旬花


清流に浮かぶ船に見立てた船形の☆彩(ようさい)器にあふれるほど水を張り、水面に映るよう、メダカ草と数珠珊瑚(じゅずさんご)の白い花と赤い実を生け、夏を演出してみました。
※☆は「曜」の「日」が「火」という字です。

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