The Kyoto Shimbun

(6)自由な発想で食卓華やかに


白釉と赤織部釉を掛け分けた楕円の器に、夏野菜とトマトの酸味をきかせたカレーを盛って、食卓も体も元気に=撮影 吉田清貴

 伏見稲荷山の南に位置する深草の工房近くには、五百羅漢で有名な石峰寺、深草少将ゆかりの深草聖天や伏見人形に、瓦の窯元があり、瓦町の町名が残るほど焼き物とのかかわりも深い。古くから山科、伏見の地では良質の赤土が取れ、竹で組まれた棚の上で赤土を丸めて並べ乾燥させていた砥(と)の粉(こ)製作所が多くあった。特に山科のものは最上質で、現在でも漆器・建築材、桐の家具の下地には欠かせない。

 陶芸作家・西川實先生も山科が生誕の地で少年期より泥土を手でこね、丸めたりして遊ばれ、土の感触が忘れられなかったのがこの道に進んだ一因と言っておられた。地元の土で作品制作をとの思いから、深草に工房を構えられたようだ。弟子入り後、間もなくスコップとバケツを提げて竹やぶへ。地層には赤土がくっきりとあり、工房へ持ち帰って土造り。先生が茶☆(わん)や壷(つぼ)に皿などをロクロ成形、本焼きされた。釉(うわぐすり)が美しく、器面に鉄斑(はん)が現れたが土が弱く、形が保てずへたってしまった。こうした失敗を見、経験できることが勉強だと先生。その後試行錯誤を繰り返し、白化粧を施し長石釉(ちょうせきゆう)をたっぷりと掛け流して焼き上げられた。(白化粧とは外観を白く見せるために素地の表面に白土をかけること)

 赤土に硫化鉄が混ざっており、本焼きすることで鉄が茶黒く溶け流れ、ぽったりと焼き上がった白い釉調に鉄斑の表情が効果的にポッポッと現れ、魅力的な白釉深草流飛文の作品として発表されていった。

 自炊の方は、朝8時起き、パンにコーヒー、ときには目玉焼きやキュウリを添える朝食の後、工房の掃除、番犬ラックの散歩と先輩と手分けする。昼食は、先生と3人分、めん類か丼物かレトルトカレーで賄(まかな)った。夕方になると米をとぎ、公設市場へ2、3日分の買い出しに。焼き魚やフライもの、豆腐に野菜を買い込みごま和(あ)えや酢の物、みそ汁。味は自分的にはまずまずだったかな…ラックもおいしそうに食べてくれる日も…こんなの食えるかと言った顔つきの日も…。(雅美)

☆は「怨」の下が「心」ではなく「皿」です。

 どのような夏を過ごされましたでしょうか。夏のお疲れは出ておりませんか。どうしても冷たい物、あっさりとした食事が多くなります。旅行先でのグルメも楽しまれたことでしょう。海や山、川へと出かけられ、バーベキューやカレーなどをして楽しまれた方も多いと思います。

 主人の母が滋賀県の生まれで、夏休みになると、いとこ会と称して一同が集まって愛知川の河原で泳ぎ、魚を追いかけ、畑からもぎ取った夏野菜にまくわやスイカを冷やし、ワイワイとバーベキューを楽しみました。また、町内の地蔵盆でもお昼におにぎりやカレーを頂きました。そのようなことを思い出しながら、夏野菜を盛り合わせ、トマトの酸味をきかせた、さっぱりピリッとカレー。ピリ辛の刺激が食を誘い、からだをシャキッとさせてくれるわが家のおすすめの一品です。涼味一口デザートも添えて。主人はビール片手に汗をかき、私はフルーツデザートですっきりと。(泰子)

 カレーを盛る赤白彩器は、石膏(せっこう)型を用い押し型成形した楕(だ)円形で、白釉と織部釉を掛け分け炭化焼成した器。この器は、使い勝手が良く用途も広く自由な発想で登場させることができ食卓の雰囲気も華やかに、元気を与えてくれる。 (雅美)

片山雅美陶展

 9月5−10日前10−後7時(10日は後5時)、舞鶴市三条朝日南(JR東舞鶴駅北口)のギャラリーサンムーン。


野菜カレー

【材料】
タマネギ200グラム、トマト250グラム、土ショウガのみじん切り大さじ1、ニンニク1かけ、カレー粉大さじ1.5、小麦粉大さじ2、水2カップ、固形コンソメ1個、塩小さじ1/3、牛乳大さじ3、サラダ油大さじ1.5、ナス1/2、オクラ4本、ズッキーニ1/2、カボチャ60グラム、エビ2尾

【下準備】
タマネギ、土ショウガ、ニンニクをみじん切りにしておきます。トマトは、皮をむき、粗くさいの目に切っておく。小麦粉、カレー粉、水も分量を量って用意する。ナスは、一口大の乱切りで水に放しアク抜き。オクラは、ヘタを取り塩少々の水で洗う。ズッキーニは、1.5センチの輪切りに。カボチャは、1センチ幅で一口大に切る。エビは、背わたを取り、薄塩水で洗う。それぞれの水気をよくふきとり、エビには薄く小麦粉をまぶしておく。

【作り方】
(1)鍋に、サラダ油を入れて熱し、タマネギを中火で2〜3分いためる。
(2)タマネギがしんなり透き通ってきたら、ショウガ、ニンニクを加え弱火で色づくまでいためる。
(3)小麦粉、カレー粉を加え、タマネギに粉がなじんでくるまでいためる。
(4)(3)に分量の水と固形コンソメを加えてタマネギをのばしていく。
(5)(4)にトマトを入れ10分ほど煮込む。アクを取りこげつかないよう何度かかき混ぜる。
(6)とろみがついてきたら、塩、牛乳を加えて味をととのえる。
(7)野菜、えびは素揚げにする。
(8)器に炊きたてのごはんと野菜を盛り、たっぷりカレーをかけて召し上がれ。

一口デザート

 イチジク、キウイにヨーグルトをかけて。

[京都新聞 2007年8月27日掲載]

毎月第4週に掲載します。

片山雅美(かたやま・まさみ)
1950年京都市生まれ。京都市工業試験場修了後、陶芸家西川實氏に師事。日展会友、京都工芸美術作家協会理事、日本新工芸家連盟評議員。
片山泰子(かたやま・ひろこ)
1954年、京都市生まれ。

楕円形の赤白彩器は、石膏型を用い、押し型成形して制作

想い出の作品


1985年に博多のホテル内に博多塀をイメージした大きな陶壁を4人で制作しました。1986年には淡路島の小学校改築の折、豊かな心、大きな夢を育(はぐく)んでもらえるようにとの思いで、陶壁「千鳥たわむる松原」を制作させていただきました。近年は、住空間の壁に飾っていただけるよう、和紙に絵を描き、額のフレームを焼き上げた、陶額を制作しております。(雅美)


旬花


ロクロ成形した平器に線刻し、釉薬の代わりにガラス片を適所に埋め込み焼き上げた器。色鮮やかな赤グロリオサ、カラジウムの白い葉からのぞき込むオミナエシを、涼しげに生けてみました。(泰子)

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