The Kyoto Shimbun

(8)酒と肴でゆるり、秋の夜長


石畳を連想した器に、彩りよく秋の肴を盛ると、杯を手に目移りしそう=撮影 吉田清貴

 修業も3年がたったころ、陶芸作家西川實先生は、自宅も伏見に移された。食事も3年間の自炊生活から、奥さまの手料理に。なお一層修業に意欲をもって向かうことができるようになった。仕事の手順や内容も把握でき、このころから公募展出品の許しも出て、夕食後に自由に制作させてもらった。

 手びねりでイメージした作品に積み上げてゆくも形にならず四苦八苦。迷いに迷っていると、見かねてか先生がひと言アドバイスを下さる。再び作品に向かって完成させ公募展に出品するも、落選、入選、でもまた落選と山あり谷ありでした。毎年挑戦を続け、1975年日展初入選、日本現代工芸美術展に「迷夢」で工芸賞受賞と大きな喜び、励みとなり、作家の一歩を歩み出すことができた。

 これも一度言ったことは二度言わぬ。仕事は教わるのではなく、日々の生活、仕事の中で盗み、よく見聞きし体で覚えろ、と弟子に対し熱く、厳しく時間を惜しまず教示下さったおかげ。失敗も多々あり、時にきつくしかられていると、奥さまが間に入って下さった。このようなことの積み重ね、住み込みならではのありがたさ、今更ながら感謝の気持ちでいっぱいです。

 また、このころ、同年代で陶芸家を志し独立している者、私のように弟子修業の者など7人が集い、グループ円を結成。ギャラリーでの作品発表や研究会、信楽・丹波・九谷・備前等へ研修の旅へ出かけ、作家との交流を深めながら、発表の場を広めていった。日展には二度の挑戦で初入選、発表を受けた時は「ヤッタ」とうれしく、胸おどり、先生、奥さまに入選の御礼を申し上げた。東京都美術館にたくさん陳列された作品の中から自分の作品を見つけるも、恥ずかしくじっと正面より見入ることができず、少し離れたところに立ち、斜めからしか見られない。「あぁ。並んでいる…」と。

 今年も21日に、日展鑑査結果の通知が届き、25回目の入選となった。今回より会場も国立新美術館に移り開催される。どのような会場雰囲気か、作品批評が聞けるか、11月11日に上京する。

 作品展も多くなる芸術の秋。秋ならではの味覚も増え食欲の秋。どちらにしても秋の夜長の一献は良い。(雅美)

 少し肌寒さを感じるこの季節、リュックを背負った人々が色づき出した野山を目指し、元気な話し声で足早に通る姿をよく見かけます。主人は仕事柄すわり仕事が多いので、運動不足になりがちです。スポーツなどで体を動かしてほしいのですが…。散歩に出かけても三日坊主です。少しでも体力を付けられるように食事面で気を付けています。

 少しの晩酌が楽しみのようで、手間のかからない肴(さかな)一品と器を合わせて季節感、色目を考えて食卓に出すようにしております。今回のお料理は、秋の一献、肴四品を作ってみました。サーモンにれんこんをサンドして秋の山を、大豆に栗と椎茸(しいたけ)で秋の味覚、いかリングのピリカラと緑黄野菜と合わせて野をイメージして、鶏のレバー煮で元気いっぱい。このような肴4品で楽しい夜長に。(泰子)

 料理を盛り付けた器は、石だたみを連想して作りました。灰釉(ゆう)を基礎釉にチタン・銅・鉄を少し加えて調合し、炭化・酸化焼成、二度の本焼きで焼き上げた黄瀬戸風の高台盛皿に。同じ器を使って、4種の肴を盛ることでそれぞれに器の表情も変わり楽しめる。さて、ビールか日本酒、焼酎どれに合うだろう…。手になじむ自作の盃と片口、徳利でもう一杯。(雅美)

 

染・井隼慶人 陶・片山雅美展

 京都市東山区花見小路四条下ル西側の楽空間 祇をん小西。11月17日−25日前11時−後7時(最終日は後5時まで)電話:075(561)1213。


サーモンサンド

【材料】
サーモン50グラム、レンコン50グラム、カイワレ大根少々、ドレッシング(酢大さじ1、レモン汁大さじ2/3、オリーブオイル大さじ1/2、砂糖小さじ1/3、塩・こしょう少々)
【作り方】
(1)調味料を合わせ、ドレッシングを作っておく。
(2)レンコンは皮をむき、4〜5ミリ幅の半月切りにして酢水につける。
(3)(2)をサッとゆで、熱いうちにドレッシングにつけておく。
(4)(3)の熱がとれ、味がついたころにサーモンも入れて味をなじませる。
(5)サーモンにレンコンをサンドして、彩りにカイワレを添える。

大豆・栗・椎茸の甘煮

【材料】
大豆(ドライパック)140グラム、栗6〜7個、生シイタケ(肉厚のもの)2枚、砂糖大さじ2、ハチミツ大さじ1.5、塩小さじ1/3、水220cc
【作り方】
(1)栗を5〜6分ゆで皮をむいておく。
(2)シイタケは十文字に四つ切りにしておく。
(3)なべに大豆・栗・しいたけ砂糖を入れ中火にかけ、アクはすくい取って2〜3分煮る。
(4)(3)にハチミツを入れ、煮汁が少なくなりとろみが出たら塩を入れて軽く鍋返しをして火を止め味を含ませる。

鶏レバーのしょうが煮

【材料】
鶏レバー120〜130グラム、針しょうが10グラム、煮汁(水40cc、酒40cc、濃口しょうゆ大さじ2、砂糖大さじ1、みりん小さじ1、しょうが絞り汁大さじ1)
【作り方】
(1)鶏レバーは塩で軽くもみ洗いし、血の塊や脂身を取っておく。
(2)小鍋に煮汁を入れ、鶏レバーを入れてアクを取ってからしょうがの絞り汁を入れる。
(3)煮汁が少なくなりとろみが出てきたところに、針しょうがをからめて火を止める。煮つめるより煮汁を残してやわらかく仕上げる。

いかリングとベリーリーフのピリカラ

【材料】
スルメイカ170〜200グラム、ベリーリーフ1袋、細ねぎ大さじ1、土ショウガ大さじ1、たれ(濃口しょうゆ大さじ1、砂糖小さじ1、ごま油小さじ1、酢小さじ2、トウバンジャン小さじ2/3)
【作り方】
(1)ベリーリーフはさっと洗って水を切っておく。
(2)ボールにたれを入れ、ねぎの小口切りとショウガのみじん切りを合わせておく。
(3)イカは足をぬきわたを取り、洗って胴は1センチの輪切りに。足は先を少し切り吸盤も取って2本ずつに切り離す。
(4)熱湯に塩を少し入れてイカを入れ、表面の色が白く変わるくらいでサツとゆで水気を切る。
(5)熱いうちに10分ほどたれに漬ける。
(6)ベリーリーフとかるくあえる。

[京都新聞 2007年10月29日掲載]

毎月第4週に掲載します。

片山雅美(かたやま・まさみ)
1950年京都市生まれ。京都市工業試験場修了後、陶芸家西川實氏に師事。日展会友、京都工芸美術作家協会理事、日本新工芸家連盟評議員。
片山泰子(かたやま・ひろこ)
1954年、京都市生まれ。

どの酒器にしようか−。選ぶのも楽しいひととき

想い出の作品


1992年東京のギャラリーで期待と不安を持っての初個展に出品した一作です。手びねり成形した器の内側全面に印刻、外は線彫り、4つの窓を開けた花器で土の素材感を生かした土器風に炭化焼成で焼き上げました。このころ、匣(さや)(土の箱)と炭を用いた炭化焼成での焼〆の作品を多く作っている。


旬花


月に見たてた円瓶の掛け花器を、お皿立ての台に立て掛けてやまなしの実、小菊、ふじばかまを生けこみ、お店で見つけた虫の置物をわきに、秋の風情を楽しんでおります。

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