The Kyoto Shimbun

(9)土との対話、呼吸で大作


ストライプが3方向に交差した和モダンな皿に、パイ包みを彩りよく=撮影 吉田清貴

 弟子として修業中のある朝、起きて工房に入ると、ひとかかえもある大きな壺(つぼ)が水引され、ろくろの上に置かれてあった。陶芸作家西川實先生が夜中に制作されたものである。どのようにして作られたのか不思議であったが、たずねると碗継ぎによる水引だと。後日、先生よりもう1作つくるから土をもんでおくように指示があった。

 電動ろくろの天板に亀板を固定し、大きな土玉をたたきすえ、大きな碗形に水引。こちらは底なしで壺の口となる。厚みも口径も同じ碗形をもう1つ水引。こちらは底付きで、腰の方は少し厚めに、土の硬さも加減せねばならない。2つを接合した時、上の重みで下部が崩れるからだ。

 最初の碗をひっくり返し、口を2つ目の口に合わせ接合する手順で球体を作る。中底に手が届かない程大きな時は、立ったり、中腰に。歯を食いしばり、息を止めておなかに力を入れ、集中し少しずつ形を整え、理想の形に仕上げられていく。土との格闘だ。先生は「力だけではだめ、土との対話、呼吸だ」と。

 かなりの経験、技術がいる水引だ。修業も5年がたったころ、先輩が8年の修業を終え、亀岡の地に工房を構えて独立されていった。後に、和歌山から陶芸家を志して京都に出てこられた男性が、西川先生の6人目の弟子として、私同様住み込み修業に入った。私が先輩として協力、手助けして仕事に励んでいく事になり、今まで以上に身を引き締め仕事に向かった。

 先輩から仕事を引き継ぎ、ろくろ成形も盃(さかずき)から湯呑(ゆのみ)、一輪生(いけ)に花瓶と何とかこなすことができるようになっていった。先生の所では、電気窯に松割り木を併用しての還元焼成であったが、新たにプロパンガス窯も築窯された。西川先生が数えきれないほど色見を繰り返された磁土を用いた青磁、鈞窯に青白磁を新たに焼かれるようになり、作品制作の幅を広げられていった。

 われわれにとって今まで経験しなかった焼き物の勉強ができたことはありがたかった。私も黒地に線刻による加飾の作品を京都工芸美術展、京展などへと出品して、入選入賞と順調に制作活動を続ける事ができるようになっていった。(雅美)

水引

 ろくろ成形

鈞窯

 中国宋代の名窯の1つで、均窯とも書く。釉は失透性で青紫色に赤も混ざった美しく焼き上げられた陶器

青白磁

 影青(いんちん)とも言い、中国で焼かれていた青味を帯びた白磁の一種


 先日、作品展を見に出かけ、途中の東山や川辺で真っ赤に色づいた木々が目に入り、足を止め見入ってしまいました。またそんな折、思いがけず甲府からもホウ葉、カキの葉、山ブドウの葉の落ち葉が届き、朱赤、黄に緑、茶色と1枚1枚に色鮮やかな葉の世界が美しく、主人が「こんな赤織部色の作品が焼けるといいのに。でも自然には勝てないなぁ」と話していました。

 もう、暖が放せない冬支度へ、街はお歳暮、クリスマス商戦真っただ中です。11月のお料理は、甘エビのうまみをソースに生かし、ぷりっとしたカキとエリンギの歯ごたえ、サツマイモの甘みを加え、それぞれの食材も楽しめるパイ包み。パイ生地で星形の飾りを焼いておき、トマトの赤、クレソンの緑に、星をちりばめてパイの皮を飾り、焼きたてのホカホカで、目にもおいしい料理を、クリスマスの食卓の一品としました。(泰子)

 パイ包みを彩りよく盛り合わせた器は、黒地に小刀で線彫りして描き出したストライプを、3方向に交差させ和モダンな文様に焼き上げた器。口作りも土の素材を生かし、ソフトな動きのある黒雍(こくよう)線彩平皿を洋風に使いました。(雅美)

生ガキと甘エビのパイ包み

【材料】
生ガキ6個、甘エビ(生)10匹、エリンギ30グラム、サツマイモ30グラム、12センチ×20センチのパイシート3枚(うち1枚は飾り用)、ホワイトソース(バター5グラム、小麦粉大さじ1、牛乳60cc、甘エビのスープ80cc)、付け合わせ用のクレソンとミニトマトは適量、トマトのソース(トマトケチャップ大さじ11/2、マヨネーズ大さじ1/2、牛乳大さじ1、パセリ少々)、塩こしょう、かたくり粉は適量
【作り方】
(1)甘エビはサッと洗って頭を取りからをむく。
(2)身は器に取っておき、鍋に(1)とカップ1の水を入れて煮立て、エビのスープを取る。(お玉の底でえびの頭を押しつぶし、中のみそを出すと旨みの濃いスープが取れる)
(3)カキは塩で洗ってキッチンペーパーに取り、水気をよく切っておく。
(4)(3)に大さじ1の白ワインをかけ、軽くもみ、香りをなじませる。
(5)10分ほどして(4)をペーパーで軽くふき、塩こしょうをしてかたくり粉を薄くまぶす。
(6)フライパンにバター5グラムを溶かし、カキの両面を軽く焼き、取り出した後、1.5センチ角に切ったエリンギを弱火で軽く焼いておく。
(7)サツマイモは蒸して約1センチ角に切っておく。
(8)鍋にバターを溶かし、小麦粉を加え弱火で混ぜる。牛乳を加えて焦がさないように混ぜ、甘エビのスープを少しずつ入れてなめらかなやわらかめのホワイトソースに仕上げる。
(9)(8)のソースに甘エビの身、エリンギ、サツマイモを入れて混ぜ塩とこしょうで味をととのえ冷ましておく。
(10)パイ生地半分にフォークで空気穴をあけ、そこへ(9)とカキを置き、合わせ目に水で溶いた卵黄を塗って、生地を2つに折り合わせフォークでしっかり押さえる。パイの表面に切り込みを入れたり、生地で好みの形をはり付け、表面に溶いた卵黄を塗る。(パイ生地を好みの形に成形しても楽しめる)
(11)天板にクッキングシートを敷いてのせ、機種にもよるが、150―180度に温めておいたオーブンで15―20分焼く。
(12)トマトのソース(それぞれの材料を合わせパセリのみじん切りを散らしたもの)をかけて食する。
 ホワイトソースに甘エビのスープを加減して、グラタンやシチューにしてもまたおいしくいただけます。

[京都新聞 2007年11月26日掲載]

毎月第4週に掲載します。

片山雅美(かたやま・まさみ)
1950年京都市生まれ。京都市工業試験場修了後、陶芸家西川實氏に師事。日展会友、京都工芸美術作家協会理事、日本新工芸家連盟評議員。
片山泰子(かたやま・ひろこ)
1954年、京都市生まれ。

12月が近づくと、和の雰囲気のクリスマスの用意を始めます

想い出の作品


1年前、元気に創意工夫され、想いやメッセージをかたちに、精力的に作品発表を続けられていた陶芸家2人が突然に他界され、同じ日に別々のお別れをしに出向いた。この作品は、祇をん小西さんで、何度か作品展をされていた藤野さんを偲んでの作品展に出品しました。過日も工芸作家が新たな作品の調査、視察に出向かれていた旅先で他界され、色々な想いをもって、お別れをしてまいりました。身近な人のあまりにも早い別れはさびしい…。合掌。


旬花


アマミヒイラギ、ミニバラ、ラメのキラキラいちご、ペッパーベリーをローソクに見立てた白彩瓶に生け込み、クリスマスをイメージした花の取り合わせを楽しみました。

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