The Kyoto Shimbun

(10)一年分の願い詰め合わせ


おせち料理を、花唐草の模様の大きな器に彩りよく盛りつけ、新しい年を迎えます=撮影 吉田清貴

 そろそろ独立をと思いながら、工房をどこに、どのように設ければ良いのかと思い迷っていた。両親に相談し、生まれ育った山科の地で工房を構えたい、と気持ちが固まり、独立への不安もあったが、師へ思いを伝えた。

 そんなころ、父が定年退職を迎えた。当時、空き家となっていた現在の地・山科に工房を構えられるよう、父は、庭にトタンの片屋根を延ばし、穴を掘りブロックを積み上げて土入れの場所を作った。また、竹やぶより竹を切り出し作品の干し棚に、鉄骨を組み立てスレートを張り窯場の屋根に、と退職後、日々独立の準備をしてくれた。

 父自身、退職後は土遊び、作陶で植木鉢や花生、茶わんなどを作ろうとの思いもあったようだ…。土を買い入れ、電動ロクロに電気窯(がま)も築かれ、いつでも独立できるよう手作りの工房ができていった。父が山雅窯と命名した電気窯に、1977(昭和52)年10月28日築窯と記してある。陶芸の道を志して8年目を迎えた27歳のころ、後輩に仕事を引き継ぎ、いよいよ陶芸家西川實先生より独立させていただいた。

 窯の記録ノートを見ると77年10月29日に空焼きし、30日に素焼きとある。第1回の本焼き作品は線刻壷(つぼ)、花瓶、乳白釉(ゆう)の面取り壷、小皿に小鉢。11月4日の午前6時30分にスイッチを入れ午後6時に焼き上げている。

 清水焼団地の問屋さんにオリジナルの黒雍(こくよう)草華文湯呑(ゆのみ)、酒器、一輪生(いけ)の見本を持って行き、日々の仕事として取引する事もできた。また五条の小売店にも作品を買っていただけたり、作品発表の場もできていった。

 父もロクロに向って植木鉢に挑戦し、後に、観音竹を入れ楽しんでいた。そんな父も平成14年4月に他界、母は15年12月31日に父の元へと逝(い)ってしまったが、独立できたこと、これも京都市工業試験場の先生、7年間の修業勉強をさせていただけた先生方のおかげ、家族の励ましや支えがあったから…。心より感謝です。(雅美)

 師走に入り、寒さとともに気ぜわしくなってまいりました。神社などでは、えとの引継ぎ亥(い)から子(ね)へ、と正月の準備も始まり、12月の料理はおせち料理にしました。近年はデパートなどで和洋中と老舗の豪華なおせちが並び、正月も海外で迎える人が多くなってきているようで、時代とともに正月を迎えるスタイルも様変わりしてきています。

 店も新年よりオープンしているので食事のことも特別考えなくてもよくなってきているのですが、やはり縁起もの。家族で一年の平安を祈り、白みそのお雑煮で健康繁栄を願っていただき、家庭で作ったおせち料理で祝いたいと思います。

 祝い重に詰める順序も決まっているようですがこだわらず、盛り付ける器も自由に詰め合わせればよいかと思います。また黒豆は健康でまめに過ごせるように、数の子は子孫繁栄を願い、ごまめは豊年満作、れんこんは先が見通せる一年になるなどシャレ言葉とともに願いが込められています。(泰子)

 心新たに新年を迎えるおせち料理を盛るのは、ロクロ成形した大きな器。磁片を用いて花唐草の模様を描き入れた内側には白釉を、外はチタン釉で淡く焼き上げた。(雅美)

 いくつもの料理を盛り付けるので色や形、大きさを考え彩りよく。南天や椿(つばき)の葉などを飾りに。また黒豆は赤い盃(さかずき)、イクラは天目の盃に入れ、立体感に工夫をして、華やかに晴れの料理を盛り合わせてみました。 (泰子)

はまぐりの柚子みそ

【材料】
はまぐり大2個、みつば少々、酒大さじ1、柚子(ゆず)1個、柚子みそ(白みそ大さじ1、みりん小さじ1、はまぐりの蒸し汁小さじ1、柚子の搾(しぼ)り汁小さじ1、柚子皮のおろし少々)
【作り方】
(1)はまぐりは塩水に入れて砂を吐かせておく。
(2)(1)を洗って鍋に入れ、酒と水各大さじ1をふり、ふたをして貝が開くまで蒸し煮する。
(3)貝の身を取り出し、蒸し汁につけておく。
(4)鍋に白みそ、みりん、蒸し汁を入れ火にかけて混ぜ、冷めたら柚子の搾り汁と柚子皮おろしを入れる (5)貝に身を戻して、さっとゆでたみつばを3センチに切りはまぐりにそえる。その上に柚子みそをかける。

とりささみの野菜巻揚げ

【材料】
ささみ4本、三度豆6本、新ごぼう40グラム、金時人参30グラム、干しいたけ大1枚、しょうがの搾り汁小さじ1/3、揚げ衣(卵白1個、かたくり粉大さじ12/3、小麦粉大さじ1、塩小さじ1/3、酒・濃口しょうゆ各小さじ1/3)山椒塩少々
【作り方】
(1)ささみは観音開きにし、塩・こしょう少々をして酒大さじ1としょうが搾り汁に15分ほど漬けておく。
(2)三度豆は色よくさっとゆがき半分に切る。
(3)ごぼう、金時人参は(2)の長さ太さに合わせて切り、さっとゆがく。
(4)干ししいたけは水で戻して(2)と同じ太さに切っておく。
(5)(1)にそれぞれの野菜を芯にして巻き、ようじで留め、衣をつけてゆっくり揚げる。
(6)(5)を適当な厚さに切って、山椒塩をつけて食す。

百合根玉子

【材料】
卵4個、百合根1個、たまねぎ50グラム、だし汁70cc、砂糖大さじ2/3、薄口しょうゆ大さじ11/2
【作り方】
(1)卵を割りほぐして、だし汁、砂糖、薄口しょうゆで味をつける。
(2)たまねぎはみじん切りしてかるくいためる。
(3)百合根は一枚ずつはがして洗い、くしがすーと通るくらいにゆでて1センチ位の大きさに切る。
(4)(2)(3)がさめたら(1)に加える。
(5)(1)を全部一度に流し込んでふたをし弱火で蒸し焼きにする。
お煮しめ、黒豆、その他のレシピは省略させていただきます。それぞれご家庭の味付けで。

[京都新聞 2007年12月17日掲載]

毎月第4週に掲載します。

片山雅美(かたやま・まさみ)
1950年京都市生まれ。京都市工業試験場修了後、陶芸家西川實氏に師事。日展会友、京都工芸美術作家協会理事、日本新工芸家連盟評議員。
片山泰子(かたやま・ひろこ)
1954年、京都市生まれ。

自作の硯で墨をすり、箱書きをする

想い出の作品


 作品の木箱に箱書きをしてお客さまにお渡しすることがある。お礼状や手紙、DMに、と筆を持つ機会は多い。自分用に硯(すずり)を作ったのをきっかけに、いろいろな形、大きさの硯を個展などに出品した。書家や書にかかわる方々とも出会い、硯、墨、水滴、筆のことを教えていただき、あらためて書の深さを知ったが、私自身は、楽しく自由に遊び心で書道具を制作しています。
 筆筒も陶器で焼き上げ、書家のご紹介で豊橋で筆先をしつらえた。書家とのコラボレーション。1999年に文房清玩(せいがん)のタイトルでギャラリーで発表した際に筆の職人さん達が豊橋より来て下さったことを思い出します。


旬花


赤織部面取花瓶に、深い緑の大王松を力強く、枝垂(しだれ)柳のしなやかな曲線の美しさ、新雪をイメージする白いデンファレとで新春の寿(ことほ)ぎを生けてみました

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