The Kyoto Shimbun

(11)小さな春の彩り 茶懐石風に


赤織部向付、織部のふた器、山彩器の三種の器を使って、茶懐石風の盛りつけを演出=撮影 吉田清貴

 「子(ね)」歳が明けてはや1カ月、みなさまはよいスタートがきれましたでしょうか。心なごむ平和な年であることと、今年も健康で元気に制作に向かえるよう祈願してまいりました。さて、昨年12月掲載の続きを書かせて頂きます。1977年に現在の地、山科で独立築窯(よう)をしたのですが、3年たったころ、見合いをして結婚しました。

 少しエピソードを…。紹介してくださった方はプロではないのですが、自宅で土ひねりし、作った作品を焼いてほしい、と何度か持って来ておられました。ある日、見合いの話をくださったのですが、私自身が27歳で独立し、30歳で結婚するという人生計画を持っていたのでちょうど良いタイミングでした。お見合いの日が新工芸展搬出の日と重なって、ホテルで会う時間に間に合わず、1時間以上の遅刻となってしまい、大慌てでかけこむ失態をした次第です。いまだに遅刻のことを言われますが、そもそも、なぜその日にお見合いを設定したのか…。

 ともあれ2人して結婚生活を送ってきて今年で28年目となりました。仕事も2人協力し、何とか生活しておりましたが、新婚旅行は先延ばしに。公募展、グループ展にも精力的に出品発表を続けていました。そんな折、1984年の京都美術工芸展に、手びねりで四角い器にひねり上げ、黒地の器全面に掻(か)き落し技法で線刻文様を付けて焼き上げた「彩器」を出品。新人賞を受賞、京都府買い上げとなり、賞金で1カ月のイタリア・フランス海外研修へ。2人して、美術館や博物館巡りに、アトリエ訪問、作家との交流と忘れることのできない貴重な体験となりました。

 一方、陶芸家のグループ「円」で活動していたのですが、個々にも個展を企画するようになりました。私の1981年の初個展は、ギャラリー・マロニエにおいて。これを機会に、個展の回数や地方での発表の場も増え、今年も京都・滋賀・大阪・金沢・三重などで作品展を予定しています。(雅美)

 みなさまはどのようなおせち料理で正月をお迎えになられましたか。昨年は、食品偽装に原油の高騰と生活をおびやかす思いもよらぬ暗いニュースが日々伝えられましたが、今年は明るく安心して暮らせる年になってほしいものです。

 お正月はみなさまごちそうをいっぱい食べられたことでしょうし、料理は何にしましょうか。厳しい寒さをこらえ、大地より新芽を出して早春のおとずれを知らせてくれる、春の香りはいかがでしょう。ほろにがさが美味でもあり、歯ごたえも味わう山菜ふきのとう。白魚と菜の花に卵の黄身で花が美しく咲いたように。冬の味覚のクリーミーで甘みのある鱈(たら)の白子や梅麩(ふ)といった食材を生かして、小さな春の彩りを茶懐石風に調理してみました。器の取り合わせで料理も楽しめるように盛り付けました。(泰子)

 今回の料理は、茶懐石風に盛るということで三種の器を使うことにしました。ふきのとう、白子に梅麩を添えた揚げ物には、土をうすく延ばして二つ折りにした角皿に四ツ足を付けて銅釉を赤く焼き上げた赤織部向付。白魚と菜の花の和(あ)え物には深い緑にガラスの青がアクセントで小さなつまみのついた織部のふた器。もう1品の炊きおこわには食べた後、器の内に現れる春山の景色が楽しみな織部山彩器を使いました。お料理ともども、春の訪れを感じてください。

白魚の菜の花和(あ)え

【材料】
白魚60グラム、菜の花60グラム、酒60cc、梅干し(大)1/2個、みりん小さじ1、レモン汁小さじ1/2、ゆで卵の黄身1/2個、塩少々
【作り方】
(1)白魚はザルに入れ、塩を少し入れたたっぷりの湯でさっとゆでる。広げて冷ましておく。
(2)菜の花は3センチぐらいに切りそろえ、色よく塩ゆでして水に放し、水気を絞っておく。
(3)卵を堅ゆでにして、黄身を裏ごしする。 (4)酒の中に梅干しを入れて火にかけ、梅干しをほぐし、みりんを加えて酒が半量になるまで煮つめる。
(5)(4)が冷めたらレモン汁を加え、中に(2)を入れて合わせ(1)も入れて味を含ませる。
(6)器に盛り、(3)の黄身を散らす。

ふきのとう、白子、梅麩の天ぷら

【材料】
ふきのとう5個、鱈の白子100グラム、梅麩1本(約10センチ)、生湯葉(10センチ角)4枚、大根少々、揚げ衣(小麦粉大さじ4、水50cc、卵少々)、片栗粉、揚げ油、すだちは適量
【作り方】
(1)白子は氷水にくぐらせて、ペーパーの上で水気を切っておく。
(2)大根は5センチの輪切りにし、薄くかつらむきにして水に放す。
(3)大根の水気をふき適当な長さに切って、生湯葉4枚を重ねた上に大根、梅麩を芯にして巻き、1.5センチ幅にカットしてようじで止める。低温でサッと揚げる。
(4)ふきのとうは汚れた葉を取りペーパーで軽くふいて、葉を少し開いて衣をつけてサッと揚げる。
(5)白子は片栗粉をまぶし衣をつけて揚げる。
(6)好みですだちやポン酢などでいただく。

炊きおこわ

【材料】
もち米1.5カップ、米1/2カップ、小豆1/2カップ、煮汁(足りない分は水を加える)400cc、塩小さじ1/2
【作り方】
(1)小豆は洗ってかぶるくらいの水を入れ、煮立ってきたら一度水を捨てる。
(2)新たに400ccの水を入れて中火にかけ、湯気が出始めたら弱火で20〜25分ほど煮る。
(3)小豆と煮汁とに分ける。
(4)洗ってザルに上げてあったもち米・米を炊飯器に入れ小豆、煮汁、塩を加えて炊く。

[京都新聞 2008年1月28日掲載]

毎月第4週に掲載します。

片山雅美(かたやま・まさみ)
1950年京都市生まれ。京都市工業試験場修了後、陶芸家西川實氏に師事。日展会友、京都工芸美術作家協会理事、日本新工芸家連盟評議員。
片山泰子(かたやま・ひろこ)
1954年、京都市生まれ。

茶わん、水指、茶入れ、ふたおき。自作の道具で茶を点(た)てるひととき

想い出の作品


1999年の京都美術工芸展に出品した「赤陶」で、優秀賞を受賞した作品です。赤陶は「赤い甲冑(かっちゅう)」を身に着け戦場に向かう前に黙想して座す力強い姿をイメージ。織部釉を厚く掛け、炭化焼成にて赤織部に焼き上げました。京展に出品した「赤陶」でも楠部賞を受賞。なお、表面の黒い飛文は、使用済みの手もみカイロを土に混ぜ合わせて焼き上げた鉄粉の効果です。使用済みカイロは少量ながらリサイクルです。廃棄物学会誌「MOOK」(ムック)の「使い捨てカイロが土と火に溶けて、新たないのちを歌う」といった記事で取り上げていただきました。


旬花


厳寒の中で甘い香を漂わせ、小さい花であるが凛(りん)とした姿が心をほっとさせてくれる水仙を、☆(よう)彩ふた付きの花器に生けてみました
注)☆は火へんに曜の右側を合わせた字

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