■駄菓子屋の「おばちゃん」頑張る

 きなこぼう、たこせん、麩(ふ)菓子…。次々と手に取っていく。ポケットには百円。お小遣いを目いっぱい使う。「当たったー」。きなこぼうを食べて、つまようじの先に赤が出てきたらもう一本。「ありがとう」。女の子が得意気に公園に駆けていった。

 京都市伏見区西柳町の鳥羽万(とばまん)。「駄菓子屋のおばちゃん」こと槻木(つきき)すぎ枝さん(74)が小さなストーブの前に陣取る。消費税は取らない。子どものことを思うと取れない。

 かつて果物屋だった。夫が病気で寝込みがちになり、すぎ枝さんでも扱える駄菓子屋に変えた。「生活のために無我夢中やった。子どもの『ありがとう』って言葉がものすごい力になったんですえ」。

 公園から女の子が戻ってきた。当たり棒で新しいきなこぼうを選ぶ。「おばちゃん、またやー」。連続当たり。口いっぱいに甘さが広がる。すぎ枝さんは静かにほほえむ。

 暮れてきた。「ここ十年で子どもの数も減った」。少子化で市内の駄菓子屋さんの廃業が相次ぐ。でもすぎ枝さんは頑張る。「おばちゃん」と声をかけてくれる子どもたちが来てくれるから。


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