■食料品店 「家庭の味」を食卓に

 「まいど、いらっしゃい」。威勢のいい声が飛び交う。「足の具合どう」。世間話も混じる。小さな食料品店が街の一角を活気づける。

 京都市中京区聚楽廻(じゅらくまわり)南町の福田商店。おばんざいが看板の品だ。長年通う西村みつさん(94)は「一人分でも売ってくれるのがありがたい。わたしに合うお味やねん」と笑う。

 創業した昭和二十年代、世代を問わず食べ物なら何でも売れた。時が流れ、若い客はスーパーに流れたが、地域のお年寄りには、なくてはならない店だ。

 朝五時半、おばんざいの仕込みが始まる。「家庭の味を」。福田登美子さん(74)は毎日心掛ける。まだ静かな通りに、カツオと昆布のだしが香る。


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